頬髯ほゝひげ)” の例文
髮はすつかり白く、まだ黒い眉と頬髯ほゝひげが“Père noble dehéâtre”(芝居に出て來る上品な父親)と云つた風な容子を與へてゐる。
船橋せんけううへにはビールだるのやうに肥滿ひまんした船長せんちやうが、あか頬髯ほゝひげひねりつゝ傲然がうぜんと四はう睥睨へいげいしてる。
代診だいしんちひさい、まるふとつたをとこ頬髯ほゝひげ綺麗きれいつて、まるかほいつあらはれてゐて、氣取きどつた樣子やうすで、あたらしいゆつとりした衣服いふくけ、しろ襟飾えりかざりをしたところ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
の黒影はヤガて外套を脱して、一室の扉を押せり、室内は燈火明々めい/\として、いまだ官服のまゝなる主人は、燃え盛る暖炉だんろの側に安然と身を大椅子に投げて、針の如き頬髯ほゝひげ撫で廻はしつゝあり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)