須弥山しゅみせん)” の例文
旧字:須彌山
須弥山しゅみせん上なお幾万由旬ゆじゅんの高き所に一大都城を開き、理想その帝王となり、物心の二大臣をこの世界にくだし、千万無量の諸象を支配せしむ。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
従って、この特徴と重写の技巧とを併用すれば、一粒の芥子種けしだねの中に須弥山しゅみせんを収めることなどは造作もないことである。
映画の世界像 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
太上老君たいじょうろうくん八卦炉はっけろ中に焼殺されかかったときも、銀角大王の泰山たいざん圧頂の法にうて、泰山・須弥山しゅみせん峨眉山がびさんの三山の下につぶされそうになったときも
須弥山しゅみせん図だの涅槃像ねはんぞうだの、いろいろの、古い仏画をいて懇望して、丁度学校の教員室に掛っている地図のように、所きらわず部屋の四壁へぶら下げて見た。
秘密 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
『仏説楼炭経るたんきょう』一に拠れば、須弥山しゅみせんの山の北方の天下鬱単越洲の人、通歯髪紺青こんじょう色で身の丈八丈、面色同等長短また等し。通歯とはいわゆる一枚歯だろう。
頭のことを「須弥山しゅみせん」。大きなことを「やっかいだ」。酔っ払うとお客の悪口を符牒でいう。
符牒の語源 (新字新仮名) / 三遊亭金馬(著)
タシは栄光、ルフンプーは塊、その意味はすなわち須弥山の一名で、寺の山が須弥山しゅみせんの形をしているので開山のゲンズン・ツブという人がこう名をけられたんです。その寺には三千三百人の僧侶が居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
八万四千の眷属けんぞくて、蒼海そうかいを踏み、須弥山しゅみせんさしはさみ、気焔きえん万丈ばんじょう虚空を焼きて、星辰せいしんの光を奪い、白日闇はくじつあんの毒霧に乗じて、ほこふるい、おのを振い、一度ひとたび虚空に朝せんか、持国広目ありとというとも
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
又護法の諸天が山上(たとえば須弥山しゅみせん或は香酔山の如き)
山の今昔 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
私自身は須弥山しゅみせんを右の手にささげているのです。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
インドでは欧州と等しくししを獣王とす、仏を獅に比べた文諸経に多い、たとえば隋訳『大集譬喩王経』上にいわく、仏言う舎利弗しゃりほつたとえば須弥山しゅみせん王金色辺あり
第二種(地妖編)地妖、地震、地陥、山崩れ、自倒、地雷、自鳴じめい潮汐ちょうせき、津波、須弥山しゅみせん、竜宮、仙境
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
たとえばまた自分の専攻のテーマに関する瑣末さまつな発見が学界を震駭しんがいさせる大業績に思われたりする。しかし、人が見ればこれらの「須弥山しゅみせん」は一粒の芥子粒けしつぶ隠蔽いんぺいされる。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
もろもろの竜王あり地上を行き、あるいは水中にあって依止をし、あるいはまた常に空裏を行き、あるいはつねに妙高に依って住むあり(妙高は須弥山しゅみせんの事)、一首竜王を我慈念す