ペエジ)” の例文
それから部屋の中へひき返すと、背の低いランプの下に「痴人の告白」を読みはじめた。が、二ペエジも読まないうちにいつか苦笑を洩らしてゐた。
或阿呆の一生 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ト木彫のあの、和蘭陀オランダ靴は、スポンと裏を見せて引顛返ひっくりかえる。……あおりをくつて、論語は、ばら/\と暖炉に映つて、かっと朱をそそぎながら、ペエジひらく。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そして、そのペエジのすぐ裏には、レスラア某氏ぼうしの書いてくれたこんな文句がありました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
米国の雑誌はいづれも広告のペエジがどつさりあるので、知られてゐる。キプリングの友達は、幾らか郵税を倹約しまつしたい考へから、広告の頁だけ引裂いて、残つた内容を一まとめにして送つてよこした。
「思ひ出」のペエジ
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
木彫きぼりのあの、和蘭陀靴オランダぐつは、スポンとうらせて引顛返ひつくりかへる。……あふりをくつて、論語ろんごは、ばら/\と暖爐だんろうつつて、くわつしゆそゝぎながら、ペエジひらく。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
古い朱塗しゆぬりの机の上には室生犀星むろふさいせいの詩集が一冊、仮綴かりとじペエジを開いてゐる。「われ筆とることをしとなす」——これはこの詩人の歎きばかりではない。
わが散文詩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
船室に持って帰って、前のペエジってみますと、——乙女おとめの君の夢よ、安かれ。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
彼は英語の海語辞典かいごじてんを片手に一ペエジばかり目を通したのち、憂鬱にまたポケットの底の六十何銭かを考えはじめた。……
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ふとおもひついたペエジひらく。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それは僅か数ペエジにオペラの楽屋をゑがいたスケツチだつた。が、キユウピツドにふんした無数の少女の廻り梯子ばしごくだる光景は如何いかにも溌剌はつらつとしたものだつた。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし偶然開いたペエジは「カラマゾフ兄弟」の一節だつた。僕は本を間違へたのかと思ひ、本の表紙へ目を落した。「罪と罰」——本は「罪と罰」に違ひなかつた。
歯車 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
最初のペエジにある所蔵印を見ると、かつて石川一口いしかはいつこうの蔵書だつたらしい。序文に
本の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
い加減にペエジを繰つて見れば、牧色ムジイク加夫単カフタン沽未士クミスなぞと云ふ、西洋語の音訳が出て来るのも、僕にはやはり物珍しい。こんな翻訳が上梓じやうしされた事は原著者托氏としも知つてゐたであらうか。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)