雷神らいじん)” の例文
それですから、北上川のきしからこの高原の方へ行く旅人たびびとは、高原に近づくにしたがって、だんだんあちこちに雷神らいじんを見るようになります。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それはほどなく近づいた雷神らいじんたきのひびきである。暗々あんあんたるこずえから梢を、バラバラッと飛びかうものは、夜のゆめをやぶられたむささびか怪鳥けちょうであろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから、頭と、胸と、おなかと、両ももと、両手両足のところには、そのけがれから生まれた雷神らいじんが一人ずつ、すべてで八人で、おそろしい顔をしてうずくまっておりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
いしをの雷神らいじんおとしたものであるとか、あるひはいしては神樣かみさま戰爭せんそうしたときであるとかんがへたり、あるひは自然しぜん出來できたものであるとしんじたりしてゐました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
愛宕山は七高山の一として修験の大修行場で、本尊は雷神らいじんにせよ素盞嗚尊すさのおのみことにせよ破旡神はむじんにせよ、いずれもあらい神で、この頃は既に勝軍地蔵を本宮とし、奥の院は太郎坊、天狗様の拠所よりどころであった。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
雷神らいじんうしようがあるものではない。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして、バラバラと舟岡山ふなおかやまをかけおりていく彼のすがたを見送っていると、たちまち、がけをこえ、雷神らいじんたきの流れをとび、やがて森から紫野むらさきののはてへかすんでしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鞍馬くらま道士どうし果心居士、竹童をひっかかえて岩頭がんとうにたち、鞺鞳とうとうたる雷神らいじんの滝を眼下がんかにみた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悪鬼、妖怪ようかい雷神らいじん風神ふうしんなどの実在を、貴族も一般人も、疑わない時代であった。