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隘路
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あいろ
ふりがな文庫
“
隘路
(
あいろ
)” の例文
都市は反抗の周囲に
砂漠
(
さばく
)
と変じ、人の魂は冷却し、避難所は閉ざされ、街路は
防寨
(
ぼうさい
)
を占領せんとする軍隊を助ける
隘路
(
あいろ
)
となるのだった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
あの途中の絶壁と絶壁の
倚
(
よ
)
り合った
隘路
(
あいろ
)
は巨木大石をもって
塞
(
ふさ
)
ぎ、たちまち洞界の入口を
遮断
(
しゃだん
)
してしまうことができるようになっている。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われわれの手を取って危険な
隘路
(
あいろ
)
を導いてくれ、白日の光と生活の趣味とがもどってくるまで支持してくれるのである。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかしその谷に当ったところには陰気なじめじめした家が、普通の通行人のための路ではないような
隘路
(
あいろ
)
をかくして、朽ちてゆくばかりの存在を続けているのだった。
ある崖上の感情
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
もう「
悪魔の拇指
(
ディヴルス・サム
)
」から百マイルも来たと思うあたりの、一
隘路
(
あいろ
)
のなかで大吹雪におそわれた。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
とかく
嶮峻
(
けんしゅん
)
な
隘路
(
あいろ
)
を好んでたどるものと危ぶまれ、生まれ持った直情径行の気分はまた少なからず誤解の種をまいてついには有司にさえ
疑惧
(
ぎぐ
)
の眼を見はらしめるに至った兄は
茶の本:01 はしがき
(新字新仮名)
/
岡倉由三郎
(著)
が、
嶮峻
(
けんしゅん
)
の
隘路
(
あいろ
)
に立つものは
拳石
(
こいし
)
にだも
躓
(
つまず
)
いて直ぐ
千仭
(
せんじん
)
の底に
墜
(
お
)
ちる。人気が落ちて下り坂となった時だから、責むるに足りない
聊
(
いささ
)
かの過失でも取返しの付かない意外な致命傷となったのであろう。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ゲルンハウゼンの
隘路
(
あいろ
)
を見、次に、モンミライ、シャトー・ティエリー、クラン、マルヌ川岸、エーヌ川岸、恐るべきランの陣地を見た。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
高氏は後のうごきも知るはずなく、山と山とにせばめられた不破ノ関の
隘路
(
あいろ
)
、大木戸坂へかかって、供頭の桃井直常へ
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さらに下方、山の
麓
(
ふもと
)
には、
断崖
(
だんがい
)
の間の狭い
隘路
(
あいろ
)
に、際限なき戦い、抽象的な観念や盲目的な本能などの狂信者たち。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
アルシュ・マリオンに達する長い丸天井の
隘路
(
あいろ
)
の下に、少しも破損していない
屑屋
(
くずや
)
の
負
(
お
)
い
籠
(
かご
)
が一つあったことは、鑑識家らの嘆賞を買い得た。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
低い
灌木
(
かんぼく
)
も高い木も焼け始めた。張郃は、狂い廻る馬にまかせて谷口を探したが、そこの
隘路
(
あいろ
)
もすでにふさがれていた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
永続的なものを築くには涙と血とで固むるのほかはないと知って、苦難を忍従し晴れやかな
額
(
ひたい
)
をし、未来に通ずる
嶮峻
(
けんしゅん
)
なる
隘路
(
あいろ
)
を進んで行きつつあった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ボナパルトに従ってロディの橋を渡った者もおり、ムュラーと共にマントアの
塹壕
(
ざんごう
)
中にいた者もおり、ランヌに先立ってモンテベロの
隘路
(
あいろ
)
を進んだ者もいた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
時こそあれ、一発の
轟音
(
ごうおん
)
が谷のうちにこだました。——と思うと、
隘路
(
あいろ
)
の壁をなしている断崖の上から、驚くべき巨大な岩石が山を震わして幾つも落ちてきた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
壁の向こうの
隘路
(
あいろ
)
に生えてる一本の
栗
(
くり
)
の木が、影を投げていた。その低い壁越しに、金色の農作物が見えていた。なま暖かい風がそれに柔らかい波を打たせていた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
と戒めていたが、騎虎の勢いというものか、関平の姿もいつか見失い、味方の小勢も散りぢりなので、彼はつい朱然を追って、いよいよ山の
隘路
(
あいろ
)
まで行ってしまった。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いくら仔細に探っても、
彼処
(
かしこ
)
に敵兵がいないことは確実です。けれど江岸の磯から山と山の
隘路
(
あいろ
)
にわたって、大小数千の石が、あたかも
石人
(
せきじん
)
のように積んであります。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
淀を右塁とし、勝龍寺の城を左塁とし、
能勢
(
のせ
)
、亀山の諸峰と、小倉之池に
狭
(
せば
)
められたこの京口の
隘路
(
あいろ
)
を取って、羽柴軍を
撃摧
(
げきさい
)
せんとなす準備行動のそれは第一歩とみられた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでに漢中を発した蜀軍は、陳倉道を進んでくるうちに、ここの
隘路
(
あいろ
)
と三方の
嶮
(
けん
)
を負って
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
名のり名のり、急坂のぬかるみや、岩間の
隘路
(
あいろ
)
で、すべて無残な枕をならべてしまった。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今は、すこしでも敵に時をかすのは
当
(
とう
)
をえたものではない。それに
直義
(
ただよし
)
の陸兵が、図にのッて、もし功にはやりでもしたら、明石の磯の
隘路
(
あいろ
)
あたりで敵のため手いたい目にあわぬかぎりもない。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
量
(
はか
)
るに、いかに秀吉といえ、ここへ到るまでには、なお五、六日を費やしましょうから、その間に
淀
(
よど
)
、勝龍寺の二城を固めて、
隘路
(
あいろ
)
の南北に堅陣を設け、その間に
江州
(
ごうしゅう
)
その他の諸勢を
糾合
(
きゅうごう
)
するならば
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“隘路”の意味
《名詞》
隘路(あいろ)
狭い道。
支障となるもの。
(出典:Wiktionary)
隘
漢検1級
部首:⾩
13画
路
常用漢字
小3
部首:⾜
13画
“隘”で始まる語句
隘
隘口
隘地
隘屋
隘溝
隘牢
隘勇線