附添つきそい)” の例文
船医の外に特に一名の給仕を附添つきそいとして手厚く看護し、この元気なら滞りなく無事に帰朝出来そうだと一同安心して大いに喜んでいた。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
余はこの時始めて附添つきそいのものが、院長のをことさらに秘して、余に告げなかった事と、またその告げなかった意味とを悟った。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
博士は車のついた籐椅子とういすに乗って、すずしい木かげでやすんでいた。附添つきそいの看護婦が、博士のために、本を読んでいたようだ。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
『高家のたぬきめ。御当家に何かふくむ所があるに違いない。勅使のお附添つきそいに今訊いてみれば、精進日などとは、真っ赤な嘘だっ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
隣家となりの二号室の附添つきそい看護婦が、あの廊下の突当りの手洗い場に行きかけると、あのへやドアいて、まぶしい電燈の光りが廊下にさしている。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
附添つきそいの看護婦は元気のよい人で、「御隠居様は大層経過がおよろしそうですが、どうも繃帯ほうたいをおいじりになっていけません」
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
左右に居ります縄取なわとりの同心が右三人へ早縄を打ち、役所まで連れきまして、一先ひとまず縄を取り、手錠をめ、附添つきそい家主やぬし五人組へ引渡しました。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わたくし不躾ぶしつけとか、遠慮えんりょとかったようなことはすっかりわすれてしまい、早速さっそくちかづいて附添つきそいのおじいさんにたずねました。——
福田病院では、附添つきそいに来てくれた美波さんという看護婦が文学好きだったので、私が未だ読書をめられていた頃から、毎日のように読んでもらっていた。
その時病院に石田浜子という附添つきそい看護婦がいて、石田は埼玉県の或町からその時代の風潮に感化された若い女の例に漏れず、都会の繁華にあこがれ東京へ出て来て、初めは二
老人 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
体が御不自由の御様子で、附添つきそいの人の動作がよく見えます。戸が皆開け放されているので見通しです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
急ではあるが、その方より附添つきそいの衆にも申し告げ、すぐお支度あるように伝えよ
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ある北国ほっこくの患者は入院以後病勢がしだいにつのるので、附添つきそい息子むすこが心配して、大晦日おおみそかになって、無理に郷里に連れて帰ったら、汽車がまだ先へ着かないうちに途中で死んでしまった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
文治は麻※※あさがみしも長大小ながだいしょうのまゝ馬のくつわに飛付くていを見るより附添つきそい非人ひにんども
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)