阿古屋あこや)” の例文
そのうちの一枚は八犬伝の一節で、犬塚信乃いぬづかしの犬飼現八いぬかいげんぱち芳流閣ほうりゅうかくの上で闘っておりますところで、今一つは阿古屋あこや琴責ことぜめの舞台面になっております。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こよいこくに、かねてのお約束やくそくどおり、船からあげて阿古屋あこやの松原までかしらが連れてまいり、金子きんすと引きかえに、おやかたへお渡しいたすてはずになっておりまする
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東国の出羽でわ陸奥むつもその伝で二つに分れたと聞いている、昔、実方さねかた中将が、奥州へ流され、この国の名所、阿古屋あこやの松を見ようと尋ね歩いたが見つからなかった。
わたしはそのあくる年の正月、市村座の中幕「阿古屋あこや琴責ことぜめ」で彼の岩永左衛門をみて、いよいよ彼が歌舞伎俳優として他に比類なき舞台顔の持主であることを知った。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ぜん申し上げます通り阿古屋あこや琴責ことぜめの様な姿でかんざしを後光の様にさしかざしてるから年を取って居ても若く見えます。ずいと出まして、御奉行の方をはすに向いて坐って居ります。
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
座敷ではたもとへ忍ばす金縁の度装どもの硝子がらすを光々さした、千鳥と云う、……女学生あがりで稲葉家第一の口上いいが、廂髪ひさしがみ阿古屋あこやと云う覚悟をして度胸を据えて腰を据えて、もう一つ近視眼ちかめを据えて
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
月心院の一間で、机竜之助が、頭巾も取り、被布も取払って、真白な木綿の着衣一枚になって、大きな獅噛火鉢しがみひばちの縁に両肱りょうひじを置いて、岩永左衛門が阿古屋あこやの琴を聞くような形をして、黙然としている。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「それで、私の出しものが阿古屋あこやなんですと。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
かしらなるはなのかざしは輝きて、阿古屋あこやたま
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
阿古屋あこやかひつら
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
近藤重蔵と阿古屋あこや琴責ことぜめを上演していたところが、その興行中に家橘が急病で死んだために、よんどころなく半途で閉場して更に次興行の相談中に、劇場もまた焼亡してしまったのは
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あの芳流閣の一番頂上の真青な屋根瓦の上にまたがって、銀色の刀を振り上げております犬塚信乃の凜々りりしい姿や、いかめしい畠山重忠の前で琴を弾いております阿古屋あこやの、色のさめたしおらしい姿を
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かしらなるはなのかざしは輝きて、阿古屋あこやたま
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
まもなく着いた、阿古屋あこやの松原。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
阿古屋あこやの松
阿古屋あこやの珠を
さかほがひ (旧字旧仮名) / 上田敏(著)