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錯落
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さくらく
ふりがな文庫
“
錯落
(
さくらく
)” の例文
自然石
(
じねんせき
)
の
形状
(
かたち
)
乱れたるを幅一間に行儀よく並べて、
錯落
(
さくらく
)
と平らかに敷き詰めたる
径
(
こみち
)
に落つる足音は、
甲野
(
こうの
)
さんと
宗近
(
むねちか
)
君の足音だけである。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この
薊
(
あざみ
)
谷は旧噴火口の跡なので道の両側には無数の熔岩が、大小
錯落
(
さくらく
)
として横たわっているが、霧が深いのと、年代を経ているので、
悉
(
ことごと
)
く
苔蒸
(
こけむ
)
し
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
先生作る所の小説戯曲随筆等、長短
錯落
(
さくらく
)
として五百余編。
経
(
けい
)
には江戸三百年の風流を
呑却
(
どんきやく
)
して、万変自ら寸心に溢れ、
緯
(
ゐ
)
には海東六十州の人情を曲尽して、一息忽ち千載に通ず。
「鏡花全集」目録開口
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
勿論当時の人間には国籍も住所も
定
(
さだま
)
っていない。水草を追うて浮動する小部隊が
錯落
(
さくらく
)
として散在した事であろう。今日
謂
(
い
)
う所の如き「家」とか「社会」とかいう観念のなかったのは勿論である。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そうすると写真や魔術の奇怪なる舞台面と、自分の頭の
中
(
うち
)
に
漂
(
たゞよ
)
う妄想とが、互いに
錯落
(
さくらく
)
し、
縺
(
もつ
)
れ合って、事実とも幻像とも付かない、不可思議極まる線状が、瞳の前に暴れ廻るように感ずるのである。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
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この
參差
(
しんし
)
錯落
(
さくらく
)
たる趣ありてこそ、好畫圖とはなるべきなれといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
二重瞼
(
ふたえまぶた
)
に寄る波は、寄りては
崩
(
くず
)
れ、崩れては寄り、黒い
眸
(
ひとみ
)
を、見よがしに
弄
(
もてあそ
)
ぶ。
繁
(
しげ
)
き若葉を
洩
(
も
)
る日影の、
錯落
(
さくらく
)
と大地に
鋪
(
し
)
くを、風は
枝頭
(
しとう
)
を
揺
(
うご
)
かして、ちらつく
苔
(
こけ
)
の定かならぬようである。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
古伽藍
(
ふるがらん
)
と
剥
(
は
)
げた額、
化銀杏
(
ばけいちょう
)
と動かぬ松、
錯落
(
さくらく
)
と
列
(
なら
)
ぶ石塔——死したる人の名を
彫
(
きざ
)
む死したる石塔と、花のような佳人とが融和して一団の気と流れて円熟
無礙
(
むげ
)
の一種の感動を余の神経に伝えたのである。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
錯
常用漢字
中学
部首:⾦
16画
落
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
“錯”で始まる語句
錯覚
錯綜
錯
錯誤
錯雑
錯乱
錯々
錯雜
錯覺
錯倒