じゃ)” の例文
いきなり、もっと深々と、胸の中へ、妻の顔を抱きしめてやってから、彼は、そう云いながらじゃけんなように突っ放した。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、誰もが一向にあやしもうとしない事柄ことがらだ。じゃが栄えて正がしいたげられるという・ありきたりの事実についてである。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
こんな一通りの意見は、逆上のぼせ切っている清吉の耳に這入ろう筈がありません、じゃでも刺青をしてくれ、それでなければ男の一ぶんが立たない。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
けだし、かれ白人は滅種計画を励行し、彼らの大帝国主義の志は、全世界を統御して後まんとす。その心のじゃにして、その計りのけんなることかくのごとし。われ黄種は危機に頻す。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
もし人情なるせまき立脚地に立って、芸術の定義を下し得るとすれば、芸術は、われら教育ある士人の胸裏きょうりひそんで、じゃせいき、きょくしりぞちょくにくみし、じゃくたすきょうくじかねば
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでもお絹はどうしてもかなかった。彼女はまったく気でも違ったように男にむかって遮二無二しゃにむに食ってかかって、じゃでもこれから不二屋へ一緒に行けと言った。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
礼を云おうと思って、露八も首を出しかけると、お蔦は、じゃけんに彼を押しけて
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)