“遭(あひ)” の例文
雅さんがああ云ふ災難にお遭(あひ)なので、それが為に縁を切る意(つもり)なら、私は、雅さん、……一年が間……塩断(しほだち)なんぞ為はしませんわ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
文墨(ぶんぼく)の雅人(がじん)も多しときゝしが、旅中(りよちゆう)年(とし)の凶(きやう)するに遭(あひ)、皈家(きか)を急(いそぎ)しゆゑ剌しを入れざりしは今に遺憾(ゐかん)とす。
皆是れ或一種の屈曲を経て凝(こ)りたる恋にあらざるはなし、男の情を釣りたる上にて釣られたる者にあらざるはなし、或事情と境遇の圧迫に遭(あひ)て、心中する迄深く契りたるにあらざるはなし
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
救ひ給へと申しければお專は暫時(しばし)思案の體にてよしや今宵は凌(しの)ぐ共明日道にて如何成る目に遭(あひ)給はんも知れがたし兎角に其金子御身が所持(しよぢ)なし給ひては災ならん私に預(あづ)け給へと言ふに傳吉も豫(かね)てより親孝行は知りしうへ且又發明女(はつめいぢよ)故(ゆゑ)懷中より金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
文墨(ぶんぼく)の雅人(がじん)も多しときゝしが、旅中(りよちゆう)年(とし)の凶(きやう)するに遭(あひ)、皈家(きか)を急(いそぎ)しゆゑ剌しを入れざりしは今に遺憾(ゐかん)とす。
出(いで)しぞと尋問(たづね)らるゝに金谷村に法用(はふよう)有て晝前(ひるぜん)巳時頃(よつどきごろ)より參りしと申しければ大岡殿には其節(そのせつ)九郎兵衞夫婦は宅(たく)に居しやと尋ねらるに私しども兩人も法用の席(せき)へ同道(どうだう)仕つりたしと申せしかば然らば歸りの節(せつ)も同道ならんに悴夫婦の切害(せつがい)に遭(あひ)し時只(たゞ)見ても居る間じ如何せしぞと問詰(とひつめ)られ九郎兵衞は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
五穀豊熟(ごこくほうじゆく)して年(とし)の貢(みつぎ)も心易(こゝろやす)く捧(さゝ)げ、諸民(しよみん)鼓腹(はらつゞみ)の春に遇(あひ)し時、氏神の祭(まつり)などに遭(あひ)しを幸に地芝居を興行(こうぎやう)する㕝あり。役者は皆其処の素人(しろうと)あるひは近村(きんそん)近駅(えき)よりも来るなり。師匠(ししやう)は田舎芝居の役者(やくしや)を傭(やと)ふ。
五穀豊熟(ごこくほうじゆく)して年(とし)の貢(みつぎ)も心易(こゝろやす)く捧(さゝ)げ、諸民(しよみん)鼓腹(はらつゞみ)の春に遇(あひ)し時、氏神の祭(まつり)などに遭(あひ)しを幸に地芝居を興行(こうぎやう)する㕝あり。役者は皆其処の素人(しろうと)あるひは近村(きんそん)近駅(えき)よりも来るなり。師匠(ししやう)は田舎芝居の役者(やくしや)を傭(やと)ふ。