やら)” の例文
くらかねるも二君に仕へぬ我魂魄わがたましひ武士の本意と思へどもにあぢきなき浮世うきよかなと一人涙を流したるとはがたりの心の中思ひやられてあはれなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「オイ/\飛んだことを言ふ——デ、彼奴きやつに一杯、酒を飲ませてやらうと思ふんだが、我々の手では駄目だから、こゝおいてか花吉大明神の御裾におすがり申すのだ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
煽起が利くッて失敬な奴だ好々よし/\是から見ろ何も教えてやらぬから好いワ、生意気な
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
すると教官の方から疑わしいと思うなら、試してくれろっていう返辞なので、連れてってやらして見るてえと、成程わざはたしかに出来る。こんな成績の好いのは軍隊でも珍らしいというでね……
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
かの狂女の去りもやらざりしがとらはれしなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この児も泣かずば やられまい
青い眼の人形 (新字新仮名) / 野口雨情(著)
見る事ぞ病氣でさへなき物ならば此邊迄も見送みおくやらんに無念むねんの事を仕てけりと前後不覺ぜんごふかくに泣沈み正體しやうたいさらあらざれば其有樣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
吉原へつとめ奉公にやられたとは扨も/\いたはしき事如何にむかしの恩あればとて夫程までに御夫婦が御心盡こゝろづくしをなされしものを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)