)” の例文
カリエスは、大した事がなく、注射で、癒るらしいが、肺と、神経痛は、頑強で、私は時々、倶楽部クラブの三階の自分の部屋へ、うて上る事がある。
死までを語る (新字新仮名) / 直木三十五(著)
とてもえろうて歩けるどこやあれしません、お春どんかて二度ばかり押し戻されて、うて行きましたわ、いろいろなもんが飛んで来ますよってに
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そしていよいよ済んだあとで、私が今日のような暑い日には、はだかでやると大変涼しいでしょうなあ、と言ったらその人は驚いて、うの体で帰ってしまった。
声と人柄 (新字新仮名) / 宮城道雄(著)
と僕はあやまって、う/\の体で逃げて来た。以来、東金家へはもう寄りつかない。但し東金君はその晩訪ねて来て、お父さんの無礼を詫びたのみならず、友情を誓った。
村一番早慶戦 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
幕の下にかかって、真暗まっくらかどへ、奥の方から幽かにあかりの漏れるのが、戸の格子の目もまばらに映って、灰色に軒下の土間をぼううて、白い暖簾のれんちぎれたのを泥にまみらした趣がある。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれども、それから中一日置いてあくる日の前場ぜんばの引け頃になると、取引所の中に一騒動が起った。叔父は寄ってたかって胴上げにされて、う這うのていで店の中に逃げ込んで来た。
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
うっかりとんだところへ行き合せて、三輪の親分とやらに、既に縛られそうになったところを、銭形の親分に助けて頂いたと、娘はうの体で帰って参りました。有難うございました。
私は、森源の話が一段落ついたのを幸い、うの態で、引上げて来た。
脳波操縦士 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
こけは湿ってかにうている。
花物語 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
廂を払うと、ふッと消えた、光はひるがえした団扇の絵の、滝の上をうてそのながれも動く風情。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
最初は姉の家に泊って子供達が騒ぐのに悩まされた揚句颱風たいふうに脅やかされ、う這うの体で浜屋へ避難してほっとする暇もなく奥畑の手紙で爆弾に見舞われたような思いをした。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
という具合に二人は二時間ばかり訓諭くんゆを受けて、昼食後う/\のていで辞し去った。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)