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輕氣球
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けいきゝゆう
爪長く、
大さは七
尺乃至一
丈二三
尺位いの
巨鳥が、
天日も
暗くなる
迄夥しく
群をなして、
吾が
輕氣球を
目懸けて、
襲つて
來たのである。
兎角する
程に
結びの
綱は
解かれて、
吾等兩人を
乘せたる
輕氣球は、
遂に
勢よく
昇騰をはじめた。
櫻木大佐等は
一齊にハンカチーフを
振つた。
此東風が
吹いて
來た
爲に、
吾が
輕氣球は、
忽ち
進行の
方向を
變じて、
今度は、
陸の
方面から
斜に、
海洋の
方へと
吹きやられた。