ふん)” の例文
すこし風が吹いて土塵つちぼこりつ日でしたから、乾燥はしゃいだ砂交りの灰色な土をふんで、小諸をさして出掛けました。母親は新しい手拭てぬぐいかぶって麻裏穿あさうらばき
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
蜥蜴よりもずつと立體的な感じで、頭が大きく、尾が長く捲き、寒さで元氣が無いらしいが、それでも、眞蒼な前肢で、しかつめらしく綿をふんまへてゐる。
かめれおん日記 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
もつ野道のみち山路やまみちは云も更なり都合つがふよりてはあさほしいたゞくれには月をふん旅行りよかうなす事往々まゝあるにより先生をたのみ劔術をまなびなば道中するにも心強くかつ賊難ぞくなんふせぐ一端共成事なれば此趣きを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
頼朝が今朝からふんまえているその山を、石橋山とこの辺の土民はんでいる。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よくの樣にふんだりけつたり思へば/\殘念ざんねん至極是と言のも我が身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)