赤銅しやくどう)” の例文
細身の蝋塗鞘ろふぬりざや赤銅しやくどうと金で牡丹ぼたん目貫めぬきつか絲に少し血がにじんで居りますが、すべて華奢で贅澤で、三所物も好みがなか/\に厭味です。
たゞこしらつき貳尺四寸無名物むめいものふち赤銅しやくどうつるほりかしらつの目貫りよう純金むくつば瓢箪へうたんすかぼりさや黒塗くろぬりこじりぎん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
赤銅しやくどう撞鐘つきがね一口を与へて、御辺の門葉もんように、必ず将軍になる人多かるべしとぞ示しける。
その人は白い文明人がきらひで、赤銅しやくどういろのわれ/\がお好きだつた。巴里女の花模様の衣裳がきらひで、馬や羚羊かもしかのつや/\した皮膚がお好きだつた。あの人は——不思議な人だつた。
亜剌比亜人エルアフイ (新字旧仮名) / 犬養健(著)
(騎手はわらひ)赤銅しやくどう人馬じんばの徽章だ
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「さて二人目は、同じ三軒長屋の大川寄に住んでゐる、漁師れふしの申松爺さんだ、五十二で赤銅しやくどう色で、生れ乍らの獨り者で——」
赤銅しやくどうの半月刀を腰にさげて
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
手に取上とりあげ能々よく/\見ば鞘は黒塗くろぬりこじりぎんつばは丸く瓢箪へうたんすかしありかしらつのふち赤銅しやくどうにてつるの高彫目貫は龍の純金なりしかば直八は心に合點うなづきモシ/\道具屋さん此脇差わきざし何程いくらで御座りますハイそれは無名なれども關物せきものと見えます直價ねだんの所は一兩三分に致しませうとふを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
煙草入は印傳いんでんの洒落れたかますで、赤銅しやくどうの金具、銀の吸口を見せた短かい煙管まで、滅多にまぎれる品ではありません。
月の半分は赤銅しやくどう 地球照アースシヤイン
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
懷中煙草が一つ——印傳いんでんかます赤銅しやくどうあぶの金具を附けた、見事な品を町役人は平次に渡しました。
平次が取出したのは、蝋塗鞘らふぬりざや赤銅しやくどうつば、紺絲でつかを卷いた、實用一點張の刀です。