たく)” の例文
はまぐりの如き貝殼かいがらは自然に皿形さらがたを成し、且つ相對あひたいする者二枚を合する時ふたと身との部さへそなはるが故に物をたくふる器とするにてきしたり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
友人は隨分長く或女學校の校長をしてゐるので、たくはへもできてるだらうと思へたのだが、子供も多い爲めにやツとかつ/\に暮して行つてるのであつた。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
果実にもももなし楊梅やまもも覆盆子いちご等、やわらかくて甘いものがいろいろあるが、なまで食べられる日は幾日いくにちもないから、年中いつでも出るのはほしてたくわえて置かれるものだけであった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
其方儀不正の無之これなく而已のみならずが家の衰頽すゐたい再興さいこうせんことを年來心掛たくはへたる金子ををしむ事なく叔母早へ分與わけあたへたるはじんなり義なり憑司ひやうじしやう次郎とまじはりをたちを退ひたるは智なり又梅を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ためたるやと尋問たづねらるゝに傳吉ハイ江戸は新吉原三浦屋四郎左衞門方に五ヶ年相勤め居其内百五十兩たくはへし由云ければ大岡殿五ヶ年奉公の内國元くにもと伯母をばつまとは如何せしぞと云るゝに傳吉給金きふきんの内半分は國元へつかはし半分は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
立しより是迄に過半くわはんつかすてし上此處にて斯一年餘りの病氣に藥代やくだいは元より旅籠はたご其の外の物入りに大概たいがいつかひ失し今はたくはへものこり少なになりければかくては當所に長く逗留とうりうも成難し然ばとてをつとの病氣今少し快方こゝろよくならねば出立も成まじとお花は一人心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)