いま)” の例文
大江戸の町々は寝静まり、掛け行燈には火影さえなく、夜をいましめる番太郎の、拍子木の音ばかりが寂寥の度を、で、さらに加えていた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
交代で夜をいましめている武士以外は、皆死んだように熟睡するので、晝間の騒擾そうじょうと活動が激しければ激しい程、夜は無気味に静かになる。
かくの如きは女の道に違うものなり、女の道は斯くある可しと、女ばかりをいましめ、女ばかりに勧むるとは、其意を得難し。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかして彼らの生活態度に共通なものの多くの中で、私はいま特に空間的生活という特徴をみて私自身のいたずらに拡りゆかんとする心をいましめたい。
語られざる哲学 (新字新仮名) / 三木清(著)
差支えないが、「忘れまいぞ、」と自分の力で自分のこころをいましむるところにまだ自力のしゅうが残っておる。
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
いましめ廣庭ひろにはには吉原宿名主問屋本陣ほんぢん組頭宿役人並居たり公用人櫻井文右衞門兩人が願書ぐわんしよを以て入側いりかはに進み出島田宿藤八同人養女節とよぶ時用人ハツと平伏なすを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(綾子が、⦅お言いでないよ⦆を繰返して小間使をいましめし、あの件なるものすなわちこれなり。)
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いましむる衛兵えいへい
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その蔭弁慶こそ無責任の空論とり、罵言讒謗ばりざんぼうの毒筆とる、君子のずべき所なりと常にいましめて居ます。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
即ち今の有婦の男子が花柳に戯るゝが如き不品行をいましめたるものならんなれども、人間の死生は絶対の天命にして人力の及ぶ所に非ず。昨日の至親ししんも今日は無なり。
新女大学 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
社会の現事に拘泥こうでいすることなくして、目的を永遠の利害に期するときは、その読書談論は、かえって傍観者の品格をもって、大いに他の実業家をいましむるの大効を奏するに足るべし。
学問の独立 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
すなわち東洋諸国専制流せんせいりゅう慣手段かんしゅだんにして、勝氏のごときもかかる専制治風の時代にらば、或は同様の奇禍きかかかりて新政府の諸臣をいましむるのに供せられたることもあらんなれども
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)