読書よみかき)” の例文
旧字:讀書
お福はよくあがはなの壁の側や物置部屋の風通しの好いところをえらんで、ひとりで読書よみかきするという風であったが、何処どこにも姿が見えなかった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
信州木曾の読書よみかき村は附(?)三富野みどの及び柿其かきそれの三村を合せ、その頭字を取って附けた新村名だという。右の柿のソレはすなわち一例である。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「私は現在ここの娘の、お三保さんに読書よみかきを教えているのですが、どうも性質が陰気でしてな」
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
主人の菜園を作つて、かたはら主人の子供に読書よみかきを教へたり、その家の病人を介抱したりしてゐた。
読書よみかきから行儀作法に至るまで一通りは仕込んでやったが、何をいうにも借財だらけの寺へ住職をしたのがあやまりで、なか/\何時いつまでも手前一人に貢いでやる訳にもかぬから
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ずそのころ私達わたくしたちけた教育しつけにつきて申上もうしあげてみましょうか——時代じだい時代じだいゆえ、教育しつけはもういたって簡単かんたんなもので、学問がくもん読書よみかき習字てならいまた歌道かどうとおり、すべて家庭かていおさめました。
八十吉は父の『お師匠様』の孫で、僕よりも一つ年上のわらべであつたが、八十吉が僕のところに遊びに来ると父はひどく八十吉を大切にしたものである。読書よみかきがよく出来て、遊びでは根木ねつきく打つた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
しかし、この下婢おんなは性来読書よみかききらいと見えて、どんなに他の娘達が優美な文字を書習おうとして骨折っていても、それをうらやましいとも思わなかった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
仁だの義だのという事は分らないのは道理もっともだ、此の娘なぞはい所へ嫁に遣ろうと思って、師匠をうちへ呼んで、読書よみかきから諸芸を仕込んだのだから、兎も角も理非の弁別がつくようになったんだが
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)