説明ときあか)” の例文
彼は何とも自身の位置を説明ときあかしようが無くて、以前に仙台や小諸こもろへ行ったと同じ心持で巴里パリの方へ出掛けて行くというにとどめて置いた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これらの輪未だ長く𢌞めぐらざるまに(かくいひて目を天にむく)、わがことばのなほよく説明ときあかす能はざるもの汝にあきらかなるにいたらむ 八八—九〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
秀子は説明ときあかす様に「アノ緑盤は重い此の戸に引かれて居ますから動かす事は出来ませんが此の戸を動かしさえすれば緑盤は自然に開きます」
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
物を言って説明ときあかす必要はないのです、わたしは極めて平静の心を以て、これを言いますが、お松さん、あなたはわたしと結婚しなければなりません、駒井甚三郎は改めて
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
説明ときあかせば惣領そうりやううまるゝは格別かくべつ果報くわはうある事なれば貴賤きせんかぎらず惣領そうりやう其家そのいへ相續人さうぞくにんなりよつ自然しぜんとくそなへてうましに相違さうゐなくすで右大將頼朝公うだいしやうよりともこうにも源家げんけ御惣領ごそうりやうなりしが一たん清盛公きよもりこうため
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
我この常世とこよ状態ありさまを汝のをる處にて彼に説明ときあかすとも、こは汝のこひをわが否む能はざるが爲なれば咎むるなかれ。 三一—三三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
屠殺とさつに用いるのだそうだ。肉屋の亭主は沈着おちついた調子で、以前には太いくぎ形状かたちしたのを用いたが、この管状の方が丈夫で、打撃に力が入ることなどを私に説明ときあかした。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼れに何事も聞えぬ様小声にて説明ときあか
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
社会の下層を流れる清水に掘りあてる迄はまずたわまず努力つとめるばかりでなく、また其を読者の前に突着けて、右からも左からも説明ときあかして、呑込めないと思ふことは何度繰返しても
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
細かに述べ今一応説明ときあかして見ろ
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
眼前めのまえの事物にほとほと興味を失いかけていた捨吉がお母さんの話を聞いて見た時の心持は、所詮しょせん説明ときあかすことの出来ないものであった。唯それは感じ得られるような性質のものであった。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)