あつらへ)” の例文
大した智慧のある男ではありませんが、眼と耳の良いことはガラツ八の天稟てんぴんで、平次の爲には、これ程あつらへ向のワキ役はなかつたのでした。
自分達じぶんだちつたがはは、かへつて此方こなたやますそみづせまつて、丁度ちやうど切穴きりあなかたちになつて、其処そこいしめたやうなあつらへ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なかがすいたので何かのあつらへもした。お糸さんは湯婆ゆたんぽをこさへて寝巻と一つにもつて来て
二黒の巳 (新字旧仮名) / 平出修(著)
下札さげふだいまあつらへにやつてある、まだ出来できんが蝋色ろいろにして金蒔絵きんまきゑ文字もじあらはし、裏表うらおもてともけられるやうな工合ぐあひに、少し気取きどつて注文をしたもんぢやから、手間てまが取れてまだ出来できぬが
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おいでやす。おあつらへは?」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
嬰兒あかんぼちゝみますから、あつしうでも、彼女あれにはるものの一口ひとくちはせたうござんすから。」——で、さしあたり仕立したてものなどのあつらへはないから
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)