糸織いとおり小袖こそでかさねて、縮緬ちりめん羽織はおりにお高祖頭巾こそづきんせいたかひとなれば夜風よかぜいと角袖外套かくそでぐわいとうのうつりく、ではつてますると店口みせぐち駒下駄こまげたなほさせながら、太吉たきち
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まいうらにして繻珍しゆちん鼻緒はなをといふのをくよ、似合にあふだらうかとへば、美登利みどりはくす/\わらひながら、せいひくひと角袖外套かくそでぐわいとう雪駄せつたばき、まあんなにか可笑をかしからう
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お前は余つぽど剽軽ひやうきんものだね、とて美登利は正太のほうをつついて、その真面目がほはと笑ひこけるに、おいらだつても最少もすこし経ては大人になるのだ、蒲田屋かばたやの旦那のやうに角袖外套かくそでぐわいとうか何か着てね
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
蒲田屋かばたや旦那だんなのやうに角袖外套かくそでぐわいとうなにてね、祖母おばあさんが仕舞しまつて金時計きんどけいもらつて、そして指輪ゆびわもこしらへて、卷煙草まきたばこつて、ものなにからうな、おいらは下駄げたより雪駄せつたきだから
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)