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角袖外套
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かくそでぐわいとう
三
枚裏にして
繻珍の
鼻緒といふのを
履くよ、
似合ふだらうかと
言へば、
美登利はくす/\
笑ひながら、
背の
低い
人が
角袖外套に
雪駄ばき、まあ
何んなにか
可笑しからう
お前は余つぽど
剽軽ものだね、とて美登利は正太の
頬をつついて、その真面目がほはと笑ひこけるに、
己らだつても
最少し経ては大人になるのだ、
蒲田屋の旦那のやうに
角袖外套か何か着てね
蒲田屋の
旦那のやうに
角袖外套か
何か
着てね、
祖母さんが
仕舞つて
置く
金時計を
貰つて、そして
指輪もこしらへて、
卷煙草を
吸つて、
履く
物は
何が
宜からうな、
己らは
下駄より
雪駄が
好きだから