西郷さいごう)” の例文
いずれ大西郷さいごうなどがリキンでとう/\助かるようになったのでしょう。れは私のめには大童信太夫おおわらしんだゆうよりか余程よほど骨の折れた仕事でした。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
おじいさんは、それをなかったのでした。西郷さいごうさんのかおも、ちょっとたばかりで、迷子まいごのほうにをとられたのでした。
銅像と老人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
西郷さいごうが出したり大隈おおくまが出したりした不換紙幣はじきに価値が低くなったが、利休の出した不換紙幣はその後何百年を経てなおその価値を保っている。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
事の真偽しんぎは知らぬが、明治の初年ごろに西郷さいごうはじめ維新の豪傑連ごうけつれんがはじめて御陪食ごばいしょく仰付おおせつけられたことがあったという。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
しかし、西郷さいごう隆盛たかもり〕を倒す時には薩人の武力も幾分か手伝ったであろうけれども、これよりも武人の勢力は衰え、中心は文治派に移ったんである。
はたして、前には、艇夫長松下梅造が、西郷さいごうさんの銅像のような胸をはって、釣床ごしに彼の顔をにらみつけていた。
大宇宙遠征隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
空中にものすごい帚星すいせいがあらわれたが、母は深夜、私を庭につれだして、そのおそろしい大きな星を指さし、「あれが、西郷さいごうの怨霊だと、みんなは言っている。」
私の歩んだ道 (新字新仮名) / 蜷川新(著)
ひとりは西郷さいごうさんの銅像みたいなやつだよ。そして、もうひとりは、ちっちゃなこびとなんだよ。顔だけ大きくって、からだがあかんぼうなんだ……。わかるかい。
灰色の巨人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
昭和八年の五月、私は始めて隠岐島おきのしまに渡ってみた。西郷さいごうの町に逗留とうりゅうしていた際に、宿の近くの大社教の分院に何か祝い事があって、島名物の村相撲むらずもうが、大層な景気で村々から乗り込んできた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あそんであるくのも、なかなかほねのおれることだ。田圃たんぼはたらくのとわりはない。明日あすは、上野うえのやまへいって、西郷さいごうさんの銅像どうぞうてこよう……。
銅像と老人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
西郷さいごうさん——この方は副園長をしていらっしゃる若い理学士です——その西郷さんがお帰りにうちへお寄り下すって、『園長の例の病気が始まったようですよ』
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いよいよ当日になり、玉座ぎょくざに近き食卓につくと、ろくろく落着いて手を出すものも、口を開くものもなかった。そこで西郷さいごうって口を開き厚くご陪食の御礼を申し上げ、かつこれに加えて
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
こんなはなしをしていると、あそびにきていた、近所きんじょおとこは、二、三ねんまえ東京とうきょうへいって、よく西郷さいごう銅像どうぞうてきたので
銅像と老人 (新字新仮名) / 小川未明(著)