袴着はかまぎ)” の例文
袴着はかまぎはたいそうな用意がされたのでもなかったが世間並みなものではなかった。その席上の飾りがひな遊びの物のようで美しかった。
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「兵部さまが、亀千代ぎみの袴着はかまぎのときに、と仰しゃったところ、殿さまが、それはこちらから知らせよう、と云われました」
このたびはソノ三題話さんだいばなし流行はやつた時分じぶん出来できました落語はなしで、第一が大仏餅だいぶつもち、次が袴着はかまぎいはひ乞食こつじき、と三題話さんだいばなしを、掲載すことにいたしました。
縞の銘仙の一枚は、外記が五つの袴着はかまぎの祝儀の時にお屋敷から新しくこしらえて頂いたのを、物持ちのいい彼女は丹念に保存して置いたのである。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あのときだ、おみやが宿下やどさがりで来て、伊達家に若ぎみの袴着はかまぎの祝いがあり、その機会に毒を盛る計画がすすめられている、ということを告げた。
西のたいの人が姫君のことを知っていて、非常に見たがっているのです。しばらく、あの人に預けて、袴着はかまぎの式なども公然二条の院でさせたいと私は思う
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
六歳むツつか……吾家うち子供ばうは、袴着はかまぎ祝日いはひ今日けふ賓客きやくんで、八百膳やほぜん料理れうり御馳走ごちそうしたが、ヤアれが忌嫌いやだのこれ忌嫌いやだのと、我意だだばかりふのに、わづ六歳むツつでありながら親孝行おやかうかう
「つまらぬ話をしたようだ」とやがて甲斐が云った、「この十日には、若ぎみの袴着はかまぎの祝いがある、知っているか」
袴着はかまぎの式だっても、どんなに精一杯のことをしても大井の山荘ですることでははなやかなものになるわけはない。
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
……乃公わしところ今日けふ小供ばう袴着はかまぎ祝宴いはひがあつて、いま賓客きやくかへつたが少しばかり料理れうり残余あまつたものがあるが、それをおまへげたいから、なにか麪桶めんつうなにかあるか、……麪桶めんつうがあるならしな。
第二の皇子が三歳におなりになった時に袴着はかまぎの式が行なわれた。前にあった第一の皇子のその式に劣らぬような派手はでな準備の費用が宮廷から支出された。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「岩沼(田村右京)と相談してみよう、今年は亀千代どのの袴着はかまぎがあり、来年は将軍家の初の謁見がある、増し合力はどうしてもやむを得ないのだ、とにかく、すぐに岩沼と相談してみよう」
小さいうちにあなたの子にしてもらえば、子供の将来を明るくしてやれるように思うのだが、失敬だとお思いにならなければあなたの手で袴着はかまぎをさせてやってください
源氏物語:18 松風 (新字新仮名) / 紫式部(著)
亀千代ぎみ袴着はかまぎの式は、十一月十日ときまった。当日、なにか事が起こるだろう、という風評がながれている。いつものことだ。なにか起こるかもしれないし、風評のまま終るかもしれない。