表口おもてぐち)” の例文
あなたが表口おもてぐちから飛び込んで来られた時、やっとのことで乳母と子供とを裏口から逃がしたのは。——でも、今夜はとうとう何もかもあからさまになってしまいました。
黄色な顔 (新字新仮名) / アーサー・コナン・ドイル(著)
とぴよこ/\出掛でかけましたが、おろかしいゆゑ萬屋よろづや左衛門ざゑもん表口おもてぐちから這入はいればよいのに、裏口うらぐちから飛込とびこんで、二ぢう建仁寺垣けんねんじがき這入はいり、外庭そとにはとほりまして、漸々やう/\庭伝にはづたひにまゐりますと
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
現在はたいていお菓子かしもちを与えて帰すだけだが、かたい家では表口おもてぐちたわらをならべその上に花嫁をすわらせて、しりを打つまねをしてもらう土地も他県にはあり、または子のないのをなげく女が
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
表口おもてぐちの内側にゐた菊地鉄平は、美吉屋の女房小供や奉公人の退いたあとしばらく待つてゐたが、板塀いたべいの戸口で手間の取れる様子を見て、鍵形かぎがたになつてゐる表の庭を、縁側のすみに附いて廻つて
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
三吉はなほ後より尾來るゆゑ小兵衞は彌々恐れ種々に逃廻にげまはると雖も三吉は尾慕つきしたひければ小兵衞は足にまかせて逃歩き夜に入て漸々歸り我が家の表口おもてぐちより入時後につきて三吉はと入來り御免なさいと言ながら店先みせさきに腰を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)