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血飛沫
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ちしぶき
ふりがな文庫
“
血飛沫
(
ちしぶき
)” の例文
「いや、直ぐ夜具で押へたからたいしたことはあるまい。——兎も角、
血飛沫
(
ちしぶき
)
を受けた者を調べるのは、惡いことではないな」
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
まず戸口から青竹の杖が、一本スッと突き出され、つづいて
血飛沫
(
ちしぶき
)
の
斑点
(
しみ
)
をつけた裾と、土にまみれた足もとがはいって来た。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
車輛と車輛との間が、
鋼鉄車体
(
こうてつしゃたい
)
のところといわず、連結器のところと云わず、真赤な
血飛沫
(
ちしぶき
)
がベットリ附着し、下の方へ
雫
(
しずく
)
がポタポタと
墜
(
お
)
ちていた。
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこは最も
高床
(
たかゆか
)
の
懸崖
(
けんがい
)
だった。投げられた任原はクシャッと一塊の肉と
血飛沫
(
ちしぶき
)
になったきりで動きもしない。仰天したのは万余の見物だけではない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敷布のくぼみの血だまり、籐椅子の上の
金盥
(
かなだらい
)
には、赤い水が縁まで、なみなみとたたえられている。
血飛沫
(
ちしぶき
)
が壁紙と天井になまなましい花模様をかいている。
金狼
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
左右を見廻すと近くに居た連中は
皆
(
みんな
)
、八方へ
飛退
(
とびの
)
いた姿勢のまま真青な顔を引釣らして福太郎の顔を見上げていたが、中には二三人、顔や手足に
血飛沫
(
ちしぶき
)
を浴びている者も居た。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
颯
(
さっ
)
と
白紗
(
はくしゃ
)
の蚊帳に
血飛沫
(
ちしぶき
)
が散って、
唐紅
(
からくれない
)
の模様を置いた。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
万七は六畳の間に入ると、
血飛沫
(
ちしぶき
)
の間を拾って死体に近づきました。後ろからはお
神楽
(
かぐら
)
の清吉、虎の威を借りて、これも肩で風を切ります。
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
同時に刃交ぜの機が熟したか、どッと
雪崩
(
なだ
)
れかかった乱刀が、一瞬にして新九郎の五体を隠し、
剣鳴戞然
(
けんめいかつぜん
)
、凄まじい
白光乱裏
(
はっこうらんり
)
に
血飛沫
(
ちしぶき
)
の虹がピュッと走った。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、すぐに、武士は、足から先に、紙帳の中へ引き込まれ、忽ち、断末魔の声が起こり、バーッと、
血飛沫
(
ちしぶき
)
が、紙帳へかかる音がしたが、やがて、
森然
(
しん
)
と静まってしまった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
浅田シノ(仮名一七)の後頭部を乱打し、
血飛沫
(
ちしぶき
)
の中に声も立て得ず絶息せしめた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「その
血飛沫
(
ちしぶき
)
の中に、塀の割け目を、裏から
繕
(
つくろ
)
ったのがあるだろう、——同じような黒い板だが、その板だけは血の跡も無いのはどういうわけだ」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
背後の白幕に虹のような
血飛沫
(
ちしぶき
)
を残しながら、フットライトの前にヒレ伏した。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お延を目がけて飛びかかった刹那——ブーンと風を切って上から飛んで来た一筋の投げ槍、あッと
血飛沫
(
ちしぶき
)
が散ったと思えば、雨龍太郎は見事胸元を突き貫かれて
摚
(
どう
)
と仰向けに
殪
(
たお
)
されていた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
血飛沫
(
ちしぶき
)
によって作られた網が! 思うにそれは、先夜、飯塚薪左衛門の屋敷で、左門によって討たれた浪人の血と、片足を斬り取られた浪人の血とによって、
新規
(
あらた
)
に編まれた網らしく、血の色は
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「氣の毒だが、その胸の
血飛沫
(
ちしぶき
)
がモノを言ふから、一刻ばかり此處へ寄り付かないといふ、確かな證人がなきや——」
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
生れて初めての強敵を
刺止
(
しと
)
めし事とて、ほつと一息、長き溜息しつゝ、あたり見まはす折しもあれ最前の若衆、
血飛沫
(
ちしぶき
)
乱れ流れたる
明障子
(
あかりしやうじ
)
を
颯
(
さつ
)
と開きて走り寄り、わが
腰衣
(
こしごろも
)
に縋り付きつゝ
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その間にも、右へ左へ、颯々と
血飛沫
(
ちしぶき
)
の雨が走る。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「気の毒だが、その胸の
血飛沫
(
ちしぶき
)
がモノを言うから、一刻ばかりここへ寄り付かないという、確かな証人がなきゃ——」
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
血飛沫
(
ちしぶき
)
が障子一面に飛んで、白い乳の
珠
(
たま
)
がトロトロと紅い網に包まれた。
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
待つてくれ、中ノ橋の親分。廊下には少しも血が附いちやゐないぜ、障子の
血飛沫
(
ちしぶき
)
はひどいが——多分
脇差
(
わきざし
)
を障子越しに突立てられると、主人は傷を
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
蚊帳には牛九郎老人の枕元に
血飛沫
(
ちしぶき
)
がかかっているだけで、ほかに何の異状も認められないところを見ると、二人の寝息を
窺
(
うかが
)
った犯人は、大胆にも電燈を
灯
(
つ
)
けるか何かして蚊帳の中に忍び入って
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その遺書を取上げると、遺書の下、疊の上には
血飛沫
(
ちしぶき
)
があり、遺書は粗末な半紙に、
提灯
(
ちやうちん
)
屋風に、タドタドしい筆蹟でなすつたもので、その文面は
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あツと言ふ間もない、三太刀、四太刀、滅茶々々に斬つて到頭
止
(
とゞ
)
めを刺し、土藏から飛出した曲者は、
血飛沫
(
ちしぶき
)
で汚れた袷を脱いで縁の下に突つ込んだ。
銭形平次捕物控:154 凧の詭計
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
良い男のくせに、顏は恐怖と苦痛に歪んで、妙に物凄まじく、胸の脇差は拔いてありますが、黒つぽい
單衣
(
ひとへ
)
をひたして、疊も障子も恐ろしい
血飛沫
(
ちしぶき
)
です。
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
得物は彫物師の使ふ鋭い
鑿
(
のみ
)
、燒印はガラツ八が言ふ通り、得物が深々と入つたせゐか、大した出血ではありませんが、それでも其邊は一面の
血飛沫
(
ちしぶき
)
です。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
得物は
彫物師
(
ほりものし
)
の使う鋭い鑿、焼印はガラッ八が言う通り、得物が深々と入ったせいか、大した出血ではありませんが、それでもその辺は一面の
血飛沫
(
ちしぶき
)
です。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
傍には弟の民五郎、妙にウロウロして、何事も手の付かぬ樣子で平次を迎へましたが、さすがに落着きを見せる積りか、
血飛沫
(
ちしぶき
)
の中に、をのゝく膝を突いて
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
傍
(
そば
)
には弟の民五郎、妙にウロウロして、何事も手の付かぬ様子で平次を迎えましたが、さすがに落着きを見せるつもりか、
血飛沫
(
ちしぶき
)
の中に、おののく
膝
(
ひざ
)
を突いて
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして
趣味
(
しゆみ
)
の惡い裝飾のゴテゴテとした八疊で、書院風になつた床側の柱の側、
凭
(
もた
)
れて酒を呑んで居たといふ障子に、一面の
血飛沫
(
ちしぶき
)
がして、脇差を通した跡といふのが
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
穴が高過ぎるし、
血飛沫
(
ちしぶき
)
も少な過ぎる。
曲者
(
くせもの
)
は障子越しに突いたと見せて置いて、實は、主人と話をしながら、素知らぬ顏で後へ廻つて、見當をつけて一と突きにやつたのさ。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「この寝巻の背中から後ろ襟へかけて、
血飛沫
(
ちしぶき
)
を浴びて居るんです、——矢張りあのお夏という娘が怪しいんじゃありませんか。あんな可愛らしい娘の癖に、証拠が揃い過ぎますよ」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「この寢卷の背中から後ろ
襟
(
えり
)
へかけて、
血飛沫
(
ちしぶき
)
を浴びてゐるんです。——矢つ張りあのお夏といふ娘が怪しいんぢやありませんか。あんな可愛らしい娘の癖に、證據が揃ひ過ぎますよ」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎は
血飛沫
(
ちしぶき
)
の障子の前に坐つて、氣味惡さうに
胡坐
(
あぐら
)
を掻きました。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「窓の下の空地には
血飛沫
(
ちしぶき
)
があるだらう」
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「窓の下の空地には
血飛沫
(
ちしぶき
)
があったろう」
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
血
常用漢字
小3
部首:⾎
6画
飛
常用漢字
小4
部首:⾶
9画
沫
漢検準1級
部首:⽔
8画
“血飛”で始まる語句
血飛