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こわくてき
ふりがな文庫
“
蠱惑的
(
こわくてき
)” の例文
僕等には妙な匂いで、それほどとも思いませんが、土人たちは
所謂
(
いわゆる
)
、女房を質に置いても
喰
(
く
)
うという、何か
蠱惑的
(
こわくてき
)
なものがあるんですね
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ことに問題となるのは天人や
菩薩
(
ぼさつ
)
として現わされた女の顔や体の描き方、あるいは恋愛の場面などに描かれた
蠱惑的
(
こわくてき
)
な女の描き方である。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
この芋焼器の「作用と効果」というのが、実に名文で、
一読
(
いちどく
)
、やき芋屋へ走りたくなるという御婦人方には極めて
蠱惑的
(
こわくてき
)
なものである。
乃
(
すなわ
)
ち——
発明小僧
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
それが、どんなに、気味悪く、同時に
蠱惑的
(
こわくてき
)
なものであったでしょう。…………私はそうして、毎日毎日、飽きもせず眺め暮したことであります。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
写真ハ全裸体ノ正面ト背面、各部分ノ詳細図、イロイロナ形状ニ四肢ヲ
歪曲
(
わいきょく
)
サセ
彎屈
(
わんくつ
)
サセ、折ッタリ伸バシタリシテ最モ
蠱惑的
(
こわくてき
)
ナル角度カラ撮ッタ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
晩になると、いつもいくらかの金をどうにか手に入れて、この小人は
芝居
(
しばい
)
に行く。ところがその
蠱惑的
(
こわくてき
)
な
閾
(
しきい
)
を一度またぐと、彼らの様子は変わってしまう。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それを事務長もどうすることもできなかった。葉子は三人の前に来ると軽く腰をまげて
後
(
おく
)
れ
毛
(
げ
)
をかき上げながら顔じゅうを
蠱惑的
(
こわくてき
)
なほほえみにして
挨拶
(
あいさつ
)
した。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
三人の三角なりな気持の
絡
(
から
)
み合いは、何か美しい
綾
(
あや
)
の多い葉子の話しぶりによると、それは相当
蠱惑的
(
こわくてき
)
なローマンスで、モオパサンの小説にも似たものであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あの
蠱惑的
(
こわくてき
)
な不思議な町はどこかまるで消えてしまって、
骨牌
(
カルタ
)
の裏を返したように、すっかり別の世界が現れていた。此所に現実している物は、普通の平凡な田舎町。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
長らく秘密の殿堂に
参籠
(
さんろう
)
して男性
魅縛
(
みばく
)
の術を体得したのち、とつじょ風雲急なるヨーロッパに現われて、その
蠱惑的
(
こわくてき
)
美貌と、不可思議な個性力と、
煽情
(
せんじょう
)
的な体姿とを武器に
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
遥か彼方から如何にも
蠱惑的
(
こわくてき
)
に地主
館
(
やかた
)
の赤い屋根と白い煙突とが、樹々の緑をとおしてチラホラ見え出すと、私はそれを
翳
(
かざ
)
している園が両方へ
展
(
ひら
)
けて、一刻もはやく邸の全貌が
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
いつになっても、
蠱惑的
(
こわくてき
)
な若さを持ったお絹の面と、
眉間
(
みけん
)
の真中に大傷を持った自分の面とが、鏡面に相並んで浮び出でたのを見た神尾は、クラクラと眼がくらむのを覚えました。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
深い
靨
(
えくぼ
)
、切れの長い眼も、紅い唇も、妙に
蠱惑的
(
こわくてき
)
ですが、前歯が二枚欠け落ちて、右の額から頬へかけて、燃え立つような赤痣、焼き損ねた名窯の陶器を見るような、痛々しさと凄まじさに
江戸の火術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
燻製
通
(
つう
)
の博士がこれまでに味わった百十九種の燻製のそのいずれにも属せず、
且
(
か
)
つそのいずれもが
足許
(
あしもと
)
にも及ばないほどの
蠱惑的
(
こわくてき
)
な
味感
(
みかん
)
を与えたものであるから
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
目の前に見る酒に赤らんだ事務長の顔は妙に
蠱惑的
(
こわくてき
)
な気味の悪い幻像となって、葉子を脅かそうとした。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
成熟せる
蠱惑的
(
こわくてき
)
な女体をその蠱惑的なままに観音に高めるというごとき(たとえば観心寺の如意輪観音)あの著しい傾向を生んだことの理解によって、一層明らかに特性づけられるであろう。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
面白いというだけでは当りません、
蠱惑的
(
こわくてき
)
という言葉がありますが、まああの感じです。
一度
(
ひとたび
)
その会に入ったら、それが
病
(
や
)
みつきです。どうしたって、会員を
止
(
よ
)
そうなんて気にはなれないのです。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
サルンで子供たちと戯れている時でも、葉子は自分のして見せる
蠱惑的
(
こわくてき
)
な
姿態
(
しな
)
がいつでも
暗々裡
(
あんあんり
)
に事務長のためにされているのを意識しないわけには行かなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
非常に
蠱惑的
(
こわくてき
)
なものがあった。
人造物語
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
俺はとにかく誘惑を
避
(
さ
)
けよう。俺はどれほど
蠱惑的
(
こわくてき
)
でもそんなところにまごついてはいられない。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
しかし柿江にとっては、この上もない迷惑なことであって、この上もない
蠱惑的
(
こわくてき
)
な冒険だった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
蠱
漢検1級
部首:⾍
23画
惑
常用漢字
中学
部首:⼼
12画
的
常用漢字
小4
部首:⽩
8画
“蠱惑”で始まる語句
蠱惑
蠱惑力
蠱惑精𨇤