にの)” の例文
百羊にして群るれば五尺の童子一人杖をにのうてこれを東西思いのままに追い得るがごとし、堯をして一羊をき舜をして杖を荷うてこれを追わしめば、なかなか思いのままにならぬ
さしつむしゃくおさえて御顔打守うちまもりしに、のびやかなる御気象、とがだてもし玉わざるのみか何の苦もなくさらりとらちあき、重々の御恩にのうて余る甲斐かいなき身、せめて肩め脚さすれとでも僕使つかい玉わばまだしも
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
宝の市の最後のは、稚児ちご市女いちめ、順々に、後圧あとおさえの消防夫しごとしが、篝火かがりび赤き女紅場の庭を離れる時から、屋台の囃子、姫たちなど、傍目わきめらぬおんなたちは、さもないが、真先まっさき神輿みこしにのうた白丁はくちょうはじめ
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……頬被ほおかむりしたお百姓、空籠からかごにのうて行違ゆきちがう。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)