若衆わかしゅう)” の例文
ところが花前はなまえ評判ひょうばんは、若衆わかしゅうのほうからも台所だいどころのほうからもさかんにおこった。花前は、いままでに一もふたりの朋輩ほうばいと口をきかない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
前髪立ちの若衆わかしゅうと、三十前の年増としまだ……年上の女に可愛がられていい気でいる奴もあれば、ずんと年下の男を滅法界めっぽうかいに好く女もあらあ——油断ゆだんがなるものか。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
子供達こどもたち毬唄まりうたにまではやされて、るもらぬも、うわさはな放題ほうだい、かぎのおせんならでは、けぬ煩悩ぼんのうは、血気盛けっきざかりの若衆わかしゅうばかりではないらしく
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ただ、あるのこと、太鼓たいこおとと、ふえと、御輿みこしをかつぐ若衆わかしゅうごえをききましたので、しばらくとおかなかった、なつかしいこえをふたたびくものだとおもいました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一日二日まえ、下女がうっかりしてよぶのをわすれたら、ついにめしいにこなかった。若衆わかしゅうはすましたことと思ってさそわなかったとか。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
へえ、笠森様かさもりさまのお見世みせでは、おちゃいただいたことがおますが、先様さきさまは、なにってではござりますまい。——したが若衆わかしゅうさん。おせんさんは、もはやおえではおますまいかな
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「花前は保証人ほしょうにんがあるでしょうか、なんでも大島おおじま若衆わかしゅうの話では、親類しんるい身内みうちもないひとりものだということですから、保証人はないかもしれませんよ」
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)