芽出度めでたく)” の例文
亥「わっち親父おやじですか、ちっとも知らねえ……お芽出たい処へ来て、こんな事を云ってはなんですが、親父は此の二月お芽出度めでたくなりました」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
苦労の中にもたすくる神の結びたまいし縁なれや嬉しきなさけたねを宿して帯の祝い芽出度めでたくびし眉間みけんたちましわなみたちて騒がしき鳥羽とば伏見ふしみの戦争。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
やがてそれから月日もって、従兄も無事に戦争から、芽出度めでたく凱旋がいせんをしたのであった。
感応 (新字新仮名) / 岩村透(著)
漸々だんだん自分の行末いくすえまでが気にかかり、こうして東京に出て来たものの、何日いつ我がのぞみ成就じょうじゅして国へ芽出度めでたく帰れるかなどと、つまらなく悲観に陥って、月をあおぎながら、片門前かたもんぜんとおりを通って
死神 (新字新仮名) / 岡崎雪声(著)
英と共に心配半歳、漸く芽出度めでたく解決して、ぐったりと疲労を覚えた。
海野十三敗戦日記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
半吉ででもある事か、おおいよしは、主税に取って、一向に芽出度めでたくない。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
芽出度めでたく御受納くださるように。」
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
前に私が奉公をした主人の惣右衞門様の敵討をするのでございますからと、義に依っての頼みに、源氏山も得心して芽出度めでたく出立いたし
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
貞徳はおのずから優しい心を動かしたろう、どうぞこの松のせめて一、二尺になるまでも芽出度めでたくおわしませ、と「植ゑておく今日から松のみどりをもなおながらへて君ぞ見るべき」
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
申上度事もうしあげたきこと数々有之これあり候え共取急ぎ候まゝ書残し※おお目もじの上くわしく可申上候もうしあげべくそうろう芽出度めでたくかしく、父上様兄上様、菊…と、……菊というのは何かの
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
花車が手玉にいたしました石へ花車と彫り附け、之を花車石と申しまして今に下総の法恩寺ちゅうに残りおりまする。是でずお芽出度めでたく累ヶ淵のお話は終りました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
仙「ナニ大丈夫でえじょうぶでござえやす、遅くも今夜の亥刻よつ時分までにけえって来て、芽出度めでたく祝いをしましょう」
と云うので、これから担ぎますから、久八、和平も手伝って担ぎましたから、たちまいえの見えないように炭を積み上げ、芽出度めでたく婚礼を済ませて、八右衞門は媒妁なこうどと共に別れて帰ります。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)