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芋蟲
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いもむし
芋蟲は
腕を
組んで
其頂きに
坐り、
悠々と
長い
水煙草の
煙管を
喫してゐて、
愛ちやんや
其他の
物にも
一切眼をくれませんでした。
乃で
種々押問答しましたが、
愛ちやんの
方でも
別段巧い
理屈も
出ず、
殊に
芋蟲が
非常に
不興げに
見えたので、
愛ちやんは
早速戻りかけました。
『
始から
終まで
間違つてる』と
斷乎芋蟲が
云ひました。それから
双方とも
口を
噤んで
了つたので、
暫くの
間又森としました。