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臆劫
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おっくう
ふりがな文庫
“
臆劫
(
おっくう
)” の例文
雨の降る日には傘を差す
臆劫
(
おっくう
)
を省く事が出来た。彼は自宅から縁側伝いで勤めに出た。そうして同じ縁側を歩いて
宅
(
うち
)
へ帰った。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
少し都合もあって其日は行かれず、電報、手紙も
臆劫
(
おっくう
)
だし、黙って
打置
(
うちお
)
き、あくる日になって宇治に往った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ここまでやって来ると、もう二人ともすこし疲れて、それに腹がへっていましたから、ものを言うのさえ
臆劫
(
おっくう
)
なのでした。だまって川の端の石の上へ腰をおろしました。
誰が・何時・何処で・何をした
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
峠は
嶮
(
けわ
)
しく、口を開くのも
臆劫
(
おっくう
)
で、話も途切れた。驢馬はすべりがちで、許生員は
喘
(
あえ
)
ぎ喘ぎ幾度も脚を
歇
(
と
)
めなければならなかった。そこを越える毎に、はっきりと
老
(
おい
)
が感じられた。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
乃
(
そこ
)
で女房を貰おうと思うが、
媒妁
(
なこうど
)
が入って
他家
(
ほか
)
から
娘子
(
あまっこ
)
を貰うというと、事が
臆劫
(
おっくう
)
になっていかねえから、段々話い聞けば、あの男が死んでしまうと、
私
(
わし
)
は年が行かないで頼る処もない身の上だ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
何時だか、時計を出すのも
臆劫
(
おっくう
)
だ、朝だか夜中だか解らない。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
で、段々、私は何かをやるのが
臆劫
(
おっくう
)
になって来ました。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
時としては、ただ頭を使うのが
臆劫
(
おっくう
)
になった。けれども努力さえすれば、充分複雑な仕事に堪えるという自信があった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一纏
(
ひとまと
)
めにきちりと片付いている代りには、出すのが
臆劫
(
おっくう
)
になったり、
解
(
ほど
)
くのに手数がかかったりするので、いざという場合には間に合わない事が多い。
イズムの功過
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんな場所ではちょっと
身体
(
からだ
)
の位置を
変
(
かえ
)
るのさえ
臆劫
(
おっくう
)
そうに見える肥満な彼は、坐ってしまってからふと気のついたように、半分ばかり
背後
(
うしろ
)
を向いた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
起き上る事の
臆劫
(
おっくう
)
な彼は出来るだけ口先で間に合せようとした。彼は産についての経験をただ一度しか
有
(
も
)
っていなかった。その経験も大方は忘れていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私
(
わたくし
)
はその
翌日
(
よくじつ
)
も暑さを
冒
(
おか
)
して、頼まれものを買い集めて歩いた。手紙で注文を受けた時は何でもないように考えていたのが、いざとなると大変
臆劫
(
おっくう
)
に感ぜられた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども、こういう研究は私にはちょっと
臆劫
(
おっくう
)
でなかなかできないから、歴史的に行くと自然現代の西洋作家を実価以上に
買
(
か
)
い
被
(
かぶ
)
る
弊
(
へい
)
が起りやすいだろうと思います。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ちょっと今のうち
一風呂
(
ひとふろ
)
浴びていらっしゃい。またそこへ坐り込むと
臆劫
(
おっくう
)
になるから」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先生は少し
風邪
(
かぜ
)
の気味で、座敷へ出るのが
臆劫
(
おっくう
)
だといって、私をその書斎に通した。書斎の
硝子戸
(
ガラスど
)
から冬に
入
(
い
)
って
稀
(
まれ
)
に見るような懐かしい
和
(
やわ
)
らかな日光が
机掛
(
つくえか
)
けの上に
射
(
さ
)
していた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
臆
常用漢字
中学
部首:⾁
17画
劫
漢検準1級
部首:⼒
7画
“臆”で始まる語句
臆病
臆
臆面
臆測
臆病者
臆病風
臆断
臆説
臆病心
臆斷