腎臓じんぞう)” の例文
旧字:腎臟
病気は腎臓じんぞうに神経痛で、気象のはっきりした銀子が気に入り、肩や腰をさすらせたりして、小遣こづかいをくれたり、菓子を食べさせたりした。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
牛の肝臓かんぞうもケンネあぶらに包まれている腎臓じんぞうも心臓も胃袋も料理法次第で結構に戴けますから安直なお料理は沢山出来ます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
法眼正純まさずみの薬、名護屋にて宗叔の薬、又京の半井道三なからいどうさん等の治療を受けたとある。一朝一夕の病気ではない。想像するに腎臓じんぞうなどの病で終ったのだろう。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
母親は長く腎臓じんぞうを病んだのち、その年の夏に亡くなり、そこで急に五郎さんの結婚が繰りあげられたのであった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
金に窮すると、石山家に来ては、石山さんの所謂『四両五両といたぶって』行きました。到頭腎臓じんぞうが悪くなり、水腫みずばれが出て、調布在の実家で死にました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
持病の腎臓じんぞう脚気かっけのために、上の男の子の時も早期に人工出産したひろみは、二度めのときの産院へのゆきかえりを山形と一しょに元子の病室に立ちよった。
日めくり (新字新仮名) / 壺井栄(著)
三度青年が振り返った時、老人は腎臓じんぞうを掌に載せ、銀の盆を待っていた。四度青年が振り返って見ると、最後の脾臓ひぞうを捧げながら、やはり銀盆を待っていた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その熱のために、とうとう腎臓じんぞうをわるくした。ひとを、どんなひとをも、蔑視べっししたがる傾向が在る。
愛と美について (新字新仮名) / 太宰治(著)
父はかねてから腎臓じんぞうを病んでいた。中年以後の人にしばしば見る通り、父のこのやまいは慢性であった。その代り要心さえしていれば急変のないものと当人も家族のものも信じて疑わなかった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今マデ血壓けつあつヲ測ッタヿハナカッタノダガ、今日始メテ測ラセラレ、心電図ヲ取リ、腎臓じんぞうノ検査モサセラレル。コンナニ血壓ガ高イトハ思ワナカッタ、相当注意ヲ要シマスネト、相馬氏ハ云ッタ。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
手に入れてこうして使っているが、このからだは悪い病気にかかっていて、心臓も悪いし、腎臓じんぞうもいけないし、いろいろ悪いところだらけだ。これじゃあ思うように活動ができやしない。ああ、苦しい
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
主君の剣は羊の腎臓じんぞうの脂肪に飽きたり……。
彼女は頭も毬栗いがぐりで、ほおはげっそりげ鼻はとがり、手も蝋色ろういろせ細っていたが、病気は急性の肺炎に、腹膜と腎臓じんぞうの併発症があり
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
母親は長く腎臓じんぞうを病んだのち、その年の夏にくなり、そこで急に五郎さんの結婚が繰りあげられたのであった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
シチューなんぞには不適当です。ヒレ肉の下の処がケンネ生脂なまあぶらに包まれていてその脂の中に腎臓じんぞうがあります。今度は腰の方でランの一ランの二ランの三としてあります。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
先生は腎臓じんぞうやまいについて私の知らない事を多く知っていた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それほどにはしけてるというわけもないんだがね、このところ腎臓じんぞうが悪いような具合だったのさ。
陽気な客 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
其処そこには静脈と動脈の血管が幾本いくほんあつまっていて肺臓も腎臓じんぞうも顔を出しているしことに動脈管は下の睾を連結しているからサア何処どこをどう破っていいかそれが一番むずかしい。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「扁桃腺でそんなにひどくなるなんて可笑しいね。腎臓じんぞうじゃないのか。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
はらわたとくるとびたのこぎりかれるようだし、急性の腎臓じんぞうは千本の針を突込んでかきまわされるようである。だがなんといっても、胆石病の痛みにまさる痛みはない。などとも云った。
雪の上の霜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
うし腎臓じんぞう 冬 第二百八十九 牛の臓物ぞうもつ
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)