罰当ばちあた)” の例文
旧字:罰當
「まア、この罰当ばちあたりが!」と魔女まじょきゅうたかこえてた。「なんだって? わたしはおまえ世間せけんから引離ひきはなしていたつもりだったのに、おまえわたしだましたんだね!」
徳川十四代の当城のあるじ家茂いえもち公の不幸なる生涯の物語をつぶさに聞いていたならば、この男は、ほんとうに涙を流して、自分のした仕事のいかに罰当ばちあたりな
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
親父の位牌へ対して路銀まで下すって、そのうえ逃路にげみちまで教えて下さると云うはな実に有り難い事ではないか、なんとも申そうようはございません、コレお國、この罰当ばちあたりめえ
「土着のものが、なんでそんな罰当ばちあたりな真似をするもんじゃない。旅の者にちがいない」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神職 (あばき出したる形代かたしろわら人形に、すくすくと釘のささりたるを片手に高く、片手に鉄槌をかざすと斉しく、威丈高いたけだか突立上つッたちあがり、お沢の弱腰よわごしどうる)汚らわしいぞ! 罰当ばちあたり。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
祖父と同様寄宿舎に来させまいする魂胆を感附いた父は、「俺でも悪いといふのか、われも俺の子ぢやないか、親を恥づかしう思ふか、罰当ばちあたりめ!」と唇をひん曲げて呶鳴どなりつけた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
「ウン。野郎……元ッカラ本職だったかも知んねッテみんな左様せい云ってッケンド……いつも仕事をブッタクリやがった癖に挨拶もしねえでえちまった罰当ばちあたりだあ。今にキット捕まるにきまってら」
老巡査 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
罰当ばちあたりめ!」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
隅「ういう事があろうと思って、私は此の上ない辛い思いをして、恩あるしゅうとや義理ある弟に愛想尽あいそづかしを云って出たのも全くお前を引寄せる為、亭主のかたき罰当ばちあたりの富五郎覚悟しろ、亭主の敵」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
生れた奴は罰当ばちあた
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)