織目おりめ)” の例文
石段いしだんると、おほきなえだ左右さいうから二人ふたりあたまかぶさるやうそらさへぎつた。やみだけれどもあをいろ二人ふたり着物きもの織目おりめほど宗助そうすけさむがらせた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この町のにぎやかな店々のかっと明るいはてを、縦筋たてすじに暗くくぎった一条ひとすじみちを隔てて、数百すひゃく燈火ともしび織目おりめから抜出ぬけだしたような薄茫乎うすぼんやりとして灰色のくま暗夜やみただよう、まばらな人立ひとだちを前に控えて
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
是は必ずしももうれてしまったとも言われぬのは、近い頃までも夏だけはなお麻を用い、木綿といっても多くは太物ふとものであり、織目おりめも手織で締まらなかったから、まだ外気との交通が容易であったが
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)