-
トップ
>
-
經文
>
-
きやうもん
聞しに直に
側なる故尋ね
行て金子二分取出し葬り呉よと頼みけるに回向院の
庵主承知して
奇特なることなりと是を葬り
香華を
手向經文を讀て供養致しければ城富は
燒香を
經文の
讀誦に
抹香くさくなりて、
娘らしき
匂ひは
遠かるべしと
思ひしに、
其やうの
氣ぶりもなく、
柳髮いつも
高島田に
結ひ
上げて、
後れ
毛一と
筋えりに
亂ださぬ
嗜みのよさ
聞いてゐると、
經文の
樣な、
普通の
言葉の
樣な、
一種の
節を
帶びた
文字であつた。
渡りに
船を
得たるが如く
暗夜にともし火を
得たるが如なり
將經文の心を
得たるが如く也此
經文の心にて見ればうゑたるもの
食を得たるか
旅人のこめなればひとへに
裸なる者
衣類を