終夜よっぴて)” の例文
あいつは昨夜ジナイーダが結婚すると云う噂に亢奮して、終夜よっぴてこの周囲ぐるり彷徨うろつき歩いていたと云うのだがね。しかし、あの男は犯人じゃない。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
終夜よっぴて稼いだと云ったっていいだろう、急ぎの仕事がありゃあ、終夜稼があな」つれの方を見て、「なあ、与ちゃん」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と是から多勢おおぜい寄ってたかって藤六を縛って外へ突出しましたが、藤六は終夜よっぴて凍えるような目に逢いました、此方こちらは美惠比丘尼がしきりに小三郎の死をとゞめて居りまする内に、も明け渡り
巡査じゅんさや、憲兵けんぺいいでもするとわざ平気へいきよそおうとして、微笑びしょうしてたり、口笛くちぶえいてたりする。如何いかなるばんでもかれ拘引こういんされるのをかまえていぬときとてはい。それがため終夜よっぴてねむられぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
長兵衛宅を訪ねあてると、家内なかでは昨夜から終夜よっぴての大喧嘩である。無理もない、町ところもしらず名もしらぬ男に娘を売った大枚百両恵んでしまったというのだからお神さんの信用しないのも。
「云わねえことがあるか、終夜よっぴて稼いだと云やがったくせに、云やしないもすさまじいや」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
長「預けたんじゃアねえよ、遣っちまったんだてえに、解らねえ、昨夜ゆうべから終夜よっぴて責めてやアがってちっとも寝られやアしねえ、己だって遣りたくはねえが、人が死ぬってえんだ、人の命にえられるけえ」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
終夜よっぴて稼いだお疲れか」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)