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ろうきょ
ふりがな文庫
“
籠居
(
ろうきょ
)” の例文
「それはいい、すぐ云いつけてくれ」保馬は手紙を巻きながら立った、「久しく
籠居
(
ろうきょ
)
したから、馬でとばすのは思いつきだ、頼むよ」
いしが奢る
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
『じゃあ、また、
籠居
(
ろうきょ
)
か——』清盛は、また貧乏かと、いいたかった。
鎧
(
よろい
)
が、急に、重たく思う。——木工助家貞はつぶやいた。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
終日一室に
籠居
(
ろうきょ
)
してかつて人前に出でざりしかば、親しき親族門弟といえどもその相貌を
窺
(
うかが
)
い知り難く、
為
(
た
)
めに種々なる風聞
臆説
(
おくせつ
)
を生むに至りぬ
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
世間は花咲き鳥歌う春であるのに、不幸にして神仏にも人間にも見放されて、かく
籠居
(
ろうきょ
)
している我々である。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
曩
(
さき
)
に三河国の某女が、下駄がけを以て富士登山の先駆をなし、野中千代子が雪中一万二千尺の
山巓
(
さんてん
)
に悲壮なる
籠居
(
ろうきょ
)
を敢てせし以来、奈良朝の昔、金峰山の女尼が
女子霧ヶ峰登山記
(新字新仮名)
/
島木赤彦
(著)
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庄造は
煩雑
(
はんざつ
)
なことが嫌いなので、妻も
嫁
(
めと
)
らず時どき訪れて来る俳友の他には、これと云って親しく交わる人もなく、一人一室に
籠居
(
ろうきょ
)
して句作をするのを何よりの楽しみにしていた。
狸と俳人
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
昔から人を避けて一室に
籠居
(
ろうきょ
)
し、専念その仕事に没頭する傾向あるべきものだが、近代の外光派以来、混雑の往来に立ちながら、あるいは風景において、空における一点の雲の去来を気にして
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
それについて清盛は、近ごろもまた
籠居
(
ろうきょ
)
している父の苦衷を考えた。——禍因は、いつも、きまっている。例の“昇殿問題”が起こりなのだ。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊達安芸といっしょに、妻の律が帰国したあと、甲斐はかるい風邪にかかって、四五日
籠居
(
ろうきょ
)
した。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
玄機はそう云う時にも客を迎えずに、
籠居
(
ろうきょ
)
して多く詩を作り、それを温に送って政を乞うた。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
中途で退出したことを
聞召
(
きこしめ
)
されて大いに
御気色
(
みけしき
)
を損ぜられたので、浄蔵は深く
勅勘
(
ちょっかん
)
の身を
慎
(
つゝし
)
み、三箇年の間
横川
(
よかわ
)
の
首楞厳院
(
しゅりょうごんいん
)
に
籠居
(
ろうきょ
)
して修練苦行の日を送ったと云うが、世間一般の人々は
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
父の
籠居
(
ろうきょ
)
も、以前の引っこみ思案とは趣きがちがい、こんどは何か、不屈な眉色が見える。朝なあさな、その父を信じて、清盛は足を踏みしめた。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「私はずっと田舎で
籠居
(
ろうきょ
)
しているが、耳もあるし眼もあります、陸奥守さまに逼塞の沙汰が出た理由がなんであるか、また、現在いかなる非謀が進められているか、着座の一人として知らなければならぬことは、およそ知っているつもりです」
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
こういう状況をつぶさに見てきた
司馬懿
(
しばい
)
の長男の司馬師は、或る日、父の
籠居
(
ろうきょ
)
している営中の一房をのぞいて
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(平田無二はこのために
籠居
(
ろうきょ
)
し、その子武蔵も、故郷に
容
(
い
)
れられなかったのであろう。早くから父に従って、播州に行くこと多く、遂に永久に故郷を後にした)
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、この
籠居
(
ろうきょ
)
は、あながち
仮病
(
けびょう
)
でもないらしい。彼としては充分に病みつくだけの理由はある。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後に、秋元家から徳島へ帰ったが、幽閉は解かれず、
籠居
(
ろうきょ
)
およそ四十二年、三十五歳から七十余歳まで例のない
終身蟄居
(
しゅうしんちっきょ
)
のまま、文化十四年三月、
謫所
(
たくしょ
)
で生涯をおえている。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
久しぶりに
籠居
(
ろうきょ
)
を離れて、朝へ上ると、彼は直ちに、
闕下
(
けっか
)
に伏して、
出師
(
すいし
)
の表を奉った。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「待て待て。わしは世に告げてあるとおり
籠居
(
ろうきょ
)
の身だ。軍事は聞いても、せんかたない。諸政一切も
直義
(
ただよし
)
にまかせてあること、戦のことなら直義の許へ報告せい。この尊氏はあずかり知らん」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
籠
常用漢字
中学
部首:⽵
22画
居
常用漢字
小5
部首:⼫
8画
“籠”で始まる語句
籠
籠手
籠城
籠絡
籠中
籠抜
籠堂
籠屋
籠行燈
籠洋燈