立塞たちふさが)” の例文
正面へ立塞たちふさがつたのは錢形平次でした。生れ乍らの精氣五體に充ち/\て、非凡の使ひ手岩根半藏の前に、莞爾としておくれる色もありません。
アンドレイ、エヒミチは戸口とぐちところすすんで、けた。するとニキタが躍上おどりあがって、そのまえ立塞たちふさがる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
右の手に持あらはれ出たる一人のをんな行先ゆくさき立塞たちふさがおのれ大惡だいあく無道ぶだうの吾助大恩有る主人と知りながら兄君あにぎみがいし岡山を立退のきし事定めて覺え有べし今爰にあひしは天のたまもの疾々とく/\勝負しようぶ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
中甲板をおり立つと、どこにいたのか、五人の水夫が、不意に現われて、二人の前に立塞たちふさがった。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
大手を広げて立塞たちふさがり、「うぬ昼盗賊ひるどろぼう狼藉者ろうぜきもの。」「さあ一足でも入るが最後、手は見せぬぞ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
音羽小三郎の二人はたすきを十字に綾取あやどり、端折はしょりを高く取り、上締うわじめをしめ、小長いのを引抜き物をも言わずツカ/\と進んでまいり、今八橋周馬が敷台口しきだいぐちへ下りようとする前に立塞たちふさがりました。
母様のまえに立塞たちふさがって、あなたは勇ましくこぶしを握りしめた。
少年・春 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
入口に立塞たちふさがツて、「お前さん達は、何をなさるんだ。」
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
アンドレイ、エヒミチは戸口とぐちところすゝんで、けた。するとニキタが躍上をどりあがつて、其前そのまへ立塞たちふさがる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そして、よろよろ四辺を探し廻る老人の前に、立塞たちふさがった。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)