秋海棠しうかいだう)” の例文
日當ひあたりのわるうへに、とひから雨滴あまだればかりちるので、なつになると秋海棠しうかいだう一杯いつぱいえる。そのさかりなころあをかさなりつて、ほとんどとほみちがなくなるくらゐしげつてる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まして屋後おくごの花園には山ならでは見るを得られぬ珍しき草花咲き亂れて、苦吟ののちは、必ずその花園を逍遙するを常としたりと、友は秋海棠しうかいだうの花の咲きおくれたるをみつゝわれに語りぬ。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
虎耳草ゆきのした秋海棠しうかいだう齒朶しだなど
樹木とその葉:11 夏の寂寥 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
この秋海棠しうかいだう杉垣すぎがきのまだかれないまへから、何年なんねんとなく地下ちかはびこつてゐたもので、古家ふるやこぼたれたいまでも、時節じせつるとむかしとほくものとわかつたとき御米およね
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)