ヤード)” の例文
私は今迄豚は泳げぬものと思っていたが、どうして、南洋の豚は立派に泳ぐ。大きな黒牝豚くろめすぶたが五百ヤードも泳いだのを、私は確かに見た。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
そうして、再び潜行し、今度は入江の鼻——距離約二千ヤードとおぼしいあたりから、とどめの二矢を火焔めがけて射ち出したのである。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そうするとまたその男も引き返して、やはり二百ヤードばかりの間隔で、二人の姿はその先の曲り角から、私には見えなくなってしまった。
今度のも前と同じ伝でな、首斬事件なんですて、第二の首は例のブレインさんの巴里パリー街道を数ヤードほど先へ行った河の中で真実血を流しておったのを
その時、忽ち犬の吠える聲と一緒に、苦しげな喘ぎやひづめの音が騷がしく相次いで起り、そのお蔭で實に數ヤードか離れたところまで私は飛びのいてゐた。
身の前五ヤード以上を見る明なく、従って叡智に富む人類の恩人の見解を取容れることは全然出来ないものとしている。
突然彼等の前方二十ヤード程のところの草むらが揺れたかと思うと、一匹の黒い耳の兎が飛び出した。ジョフレイは素早く銃を肩に当てがってそれを覗った。
私はゴルファーではないが、ここのリンクスには何とも知れぬなつかしい憧憬あこがれを持つ。面積が六万坪あることや、延長が三千ヤードにおよぶことなどは、私にはどうでもいい。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
ことその頭部とうぶ裝填さうてんせられたる爆發藥ばくはつやくは、普通ふつう魚形水雷ぎよけいすいらい頭部とうぶ綿火藥めんくわやく百七十五きん相當さうたうして、千四百ヤード有效距離いうかうきよりを四十一ノツト速力そくりよくをもつて駛行しかうすること出來できるのであるから、砲聲ほうせい轟々がう/\
探検隊を乗せた二せきのカヌーは、隠された細流の入口に達する。浅黄色あさぎいろあしが一面に生い茂った葦叢あしむらの中を、数百ヤードばかり無理にカヌーを押して行くと、突如として、静かな浅い流れに出る。
少年たちの屈み込んだ場所から二、三百ヤードばかり沖合いの海中に、木函らしい物が一つ波の長濤うねりに乗ってうかんでいるのであった。打ち見たところ、この辺で投げ棄てられた空箱でもないらしい。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
運動では六百ヤードの全校一の選手だった。
光り合ういのち (新字新仮名) / 倉田百三(著)
なお更にこのレーヌ公園と云うのは、大変人通りのある処である上に、更にその家から百ヤードもないくらいの処に、車の立場たてばもあるのであった。
私は彼女から半ヤードのところにひざまづいた。彼女は、火を掻き起して、燃えそびれた石炭がめら/\と燃え上るやうにした。
夜更のアピアの街のこととて何処も彼処も真暗だが、此の高い塀は、其処から二十ヤードばかり行くと切れていて、その向うには、どうやら薄黄色い光が流れているらしい。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
知っているくせに。……もっと黒檀紳士は、明けっ放しの人かと思っていたわ。つまり、四十ヤードスクラムからスリークォーター・パスになって、それを、私がカットして好キック
一週一夜物語 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ヴァランタンは四つんばいになって、おそろしく細密な職業的な注意を払って、死体の附近二十ヤード四方のくさむらや地面をしらべた。博士も下手ながら英大使もうろうろしながら手伝った。
それは五ヤードないし十ヤードごとに大きな石や岩があり、犁を使う時にはそれを迂廻するかその上を持上げて越さなければならぬ土地であり、そのいずれかが岩石の大きさに応じて一般に行われている。
五、六ヤード奥へ進むと、左側にベナビデスの寝起きしている部屋であろう、換気の利かなそうな灯を消した真っ暗な部屋があった。この部屋の壁に沿うて突き当った右側が二階へ上る段梯子になる。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
前に説明した通り客間は食堂よりも二段高くなつてゐたが、部屋の内に一二ヤード後方に置かれた段構だんがまへの上段に大きな大理石の水盤すゐばんが据ゑてあるのが見えた。
それからその姿は、ちょっとの間立ち止まったが、やがてまたうずくまった這う形になって、威嚇するような姿勢で、室の中に入って来た。もう吾々の直前三ヤードのところである。
巴里パリー街道を五十ヤードほど行ったところの藪中に放り込んでございましたのを見つけましたんです。つまり、私はあなた様の大切なブレイン様がお逃げになる時におなげになったちょうどその場所でこれを
街から西の渡し場迄行って、マターファ側の村々の様子を見ようと、馬にる。ヴァイムスまで行くと、路傍の家々に人々がごたごた立騒いでいたが、武装はしていない。川を渡る。三百ヤードで又、川。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
タッチに蹴出す。一挙これじゃ、三十ヤード挽回ね
一週一夜物語 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
君も何百ヤードと云うものを離れて見たので、あの娘さんのスミス嬢以下の報告っきり出来ないじゃないか、あの女は自分が知らない者だろうと云っていたが、しかし僕の見るところでは
彼の跳ね返るような歩調は、決して衰えなかったが、私から百ヤードばかりも先んじて行った彼は、ふと立ち止まった。そして彼が手を上げてまわすのを見たが、それは悲しみと絶望の相図であった。