眼附めつき)” の例文
顏中かほぢゅうのどこも/\釣合つりあひれて、何一なにひと不足ふそくはないが、まん一にも、呑込のみこめぬ不審ふしんがあったら、傍註わきちゅうほどにもの眼附めつきや。
五十二歳になる袴野は野装束をつけると、眼附めつきも足もとも違ったたくましさを現しはじめた。しかしすての気づかいは本気で言った。
なにしろ、真白まつしろで、銀のやうに光る髪をもつて、するどい眼附めつきをしてゐる婆さんなので、豆小僧は気味が悪くなつて、仕方がなかつたのです。
豆小僧の冒険 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
今度はその手錠をほどいて麻縄で縛つてみると、三郎は以前と同じやうに手首を振つてゐたが、急にけはしい眼附めつきになつて
萠黄色もえぎいろの、活々いき/\としたうつくしい眼附めつきわしよりも立派りっぱぢゃ。ほんに/\、こんどのお配偶つれあひこそ貴孃こなたのお幸福しあはせであらうぞ、まへのよりはずっとましぢゃ。
基経は念を押すように娘の方を見た。橘はいのるように父に何もいうなという怖気おじけのある色をうかべて、もう、鳥をつのは可哀想かわいそうだという意味をも含ませた眼附めつきだった。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
はじめは眼をさけおうていたが、日がつとちらとかわした眼附めつきにも、お互にまた来ているという言葉があらわれるだけで、あとは冷酷無情の眼のつつきあいしかなかった。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
だのに、べつの一人の眼附めつきはただ悲しみだけを表わして、橘をひたと見入るばかりであった。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
彼女は野伏ノ勝を思った。だがどのようにしても袴野の眼をかすめることは出来ない、岩のすきま林の中くさむらの間にも、袴野の眼がきらつくと思えば、そこにかならずその眼附めつきが見えていた。