盲目めしひ)” の例文
南さんは行者久ぎやうじやきうさんと云ふ盲目めしひで名高い音曲おんぎよくの師匠の弟子の一人でした。小いうちから琴も三味線も胡弓こきゆうも上手だつたのです。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
草ごめやかはづのこゑの、夜に聴けばくくくとふくむ。おもしろよ盲目めしひの蛙、かいろ、くく、暗しとを啼く。ひぬひぬ、くくく。惜しや惜しや、くくく。
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
禍害わざはひなるかな、偽善なる学者、なんぢらは人の前に天国を閉して、自ら入らず、入らんとする人の入るをも許さぬなり。盲目めしひなる手引よ、汝らはぶよし出して駱駝らくだを呑むなり。
如是我聞 (新字新仮名) / 太宰治(著)
わかき姉妹の順礼御詠歌ごえいかうたひながら下手より登場。姉なるは盲目めしひなり。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
白鳥はくてうをよんでたはむれ 夜の霧にながされる 盲目めしひのばらのはな。
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
盲目めしひなる『闇』はしのびにうかがひぬ。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
われは行く盲目めしひのごとし (後略)
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
いま、われ盲目めしひとなりぬ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
盲目めしひの如く、熱き心もて。
盲目めしひは見るを忘れんや。
天地有情 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)
うまれながらの盲目めしひなれ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
なれは盲目めしひの土の精
枯草 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
弾く手にはれ手風琴も鳴るらめど盲目めしひ眼はかず白夜はくや昼ならず
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
身はこれ盲目めしひすべもなく
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
盲目めしひをゆるせ、ゆく春の
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
うまれながらの盲目めしひなれ
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ひとむね盲目めしひのみなる兵にして真昼あかきに坐りてありしと
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
光りを知らぬ盲目めしひの身
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
われは行く盲目めしひのごとし
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
もの言はず光る戸口へおも向けて兵はありきと盲目めしひなりしと
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
盲目めしひこそうれしかりけれ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
わなみ盲目めしひのうなだれて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
盲目めしひ弾き、おうし聾者ろうじやつぶかさなりのぞく。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
妄想狂まうさうきやうのめぐりにはバツソの盲目めしひ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)