畝傍山うねびやま)” の例文
この二首にしゆうたは、うたがひもなく、景色けしきんだうたであります。畝傍山うねびやま附近ふきんの、ちひさな範圍はんい自然しぜんうたつた、いはゆる敍景詩じよけいしといふものであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ぎに第一代だいゝちだい神武天皇じんむてんのう御陵ごりようは、大和やまと畝傍山うねびやまふもとにあることはみなさんもつてをられるとほりであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
が、畝傍山うねびやまのふもとまで来たら、急に日がさしてきて、きのうのように気もちのいい冬日和ふゆびよりになりました。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
大和では天香久山あまのかぐやま耳成山みみなしやまとが、畝傍山うねびやまのために喧嘩けんかをした話が、古い奈良朝の頃の歌に残っております。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
畝傍山うねびやま東南たつみのすみ橿原かしはらところを観れば、蓋し国の墺区もなかならむ、可治之みやこつくるべし
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
奈良と郡山の間の佐保川の流域(昔の都)を幾分下に見渡せる小高い畑地である。遠く南の方には三輪山、多武とうみね、吉野連山から金剛山へと続き、薄いかすみのなかに畝傍山うねびやま香久山かぐやまも浮いて見える。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
さゐかはから、くもがずっとつゞいて、この畝傍山うねびやま、そのやまが、さわいでゐる。いまかぜかうとしてゐるのだ。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
畝傍山うねびやま。それには、やまが、ひるは、くもがかゝつてゐるように、ぢっとしづまつてゐて、日暮ひぐれがると、かぜすといふので、そのさわいでゐる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
平原の真中に、旅笠を伏せたように見える遠い小山は、耳無みみなしやまであった。其右に高くつっ立っている深緑は、畝傍山うねびやま。更に遠く日を受けてきらつく水面は、埴安はにやすいけではなかろうか。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)