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焼餅
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やきもち
ふりがな文庫
“
焼餅
(
やきもち
)” の例文
御茶の子の材料は
区々
(
まちまち
)
である。
鍋
(
なべ
)
に残った前夜の飯の余りを食う場合もあるが、東日本では普通そのために
焼餅
(
やきもち
)
というものがある。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
リヽーに対する
焼餅
(
やきもち
)
?———と、一応思ひついてみたが、それも腑に落ちないと云ふのは、もと/\自分も猫が好きだつた筈なのである。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「あなた。随分
焼餅
(
やきもち
)
やきねえ。」と君江はかえって驚いたように鉄子の顔を見返して、「いいじゃないの。奥様なら奥様で。気にしないだって。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
井
(
い
)
の中の
蛙
(
かわず
)
——おまえなんかに天下のことがわかるものか、この島をでたら、
分相応
(
ぶんそうおう
)
に、人の
荷物
(
にもつ
)
でもかついで、その
駄賃
(
だちん
)
で
焼餅
(
やきもち
)
でも
頬
(
ほお
)
ばッておれよ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と黒板にかいてある。さっきは別に腹も立たなかったが今度は
癪
(
しゃく
)
に
障
(
さわ
)
った。
冗談
(
じょうだん
)
も度を過ごせばいたずらだ。
焼餅
(
やきもち
)
の
黒焦
(
くろこげ
)
のようなもので
誰
(
だれ
)
も
賞
(
ほ
)
め手はない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
嫉妬は婦人の敗徳なりと教うれば、下流社会も之を聞習い、
焼餅
(
やきもち
)
は女の恥など唱えて、敢て自から結婚契約の権利を放棄して自から苦鬱の淵に沈むのみならず
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
わたしの母親は、気の毒な生活をしていた。しょっちゅう興奮したり、
焼餅
(
やきもち
)
をやいたり、ぷりぷりしたりしていたのだが——ただし父の面前でやったわけではない。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
そのように
薄情
(
はくじょう
)
にするなら、御息女のことを、世間にいいふらす——と、あたくしが、
焼餅
(
やきもち
)
が
昂
(
こう
)
じて申したのがきっかけで、あんな馬鹿らしいことになったのでございました
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
男でも女でも同じように、
譃
(
うそ
)
はいうし、欲は深いし、
焼餅
(
やきもち
)
は焼くし、
己惚
(
うぬぼれ
)
は強いし、仲間同志殺し合うし、火はつけるし、
泥棒
(
どろぼう
)
はするし、手のつけようのない毛だものなのだよ……
桃太郎
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「あなたこの私に
慇懃
(
いんぎん
)
をお寄せ下さいますでしょうねえ。宅は
焼餅
(
やきもち
)
やきですの、あのオセロなんですのよ。でも私たち、宅に何一つ
気
(
け
)
どられないようにうまく立ちまわりましょうねえ」
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
なんだかそれまでは心の内を隠していたのが、もう向うも身の上が極まったのだから、構わないとでも思ったらしく見えたのね。それからどうだっけ。わたしは
焼餅
(
やきもち
)
なんぞは焼かなかったわ。
一人舞台
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
とも子
焼餅
(
やきもち
)
やき。
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
リリーに対する
焼餅
(
やきもち
)
?———と、一応思いついてみたが、それも
腑
(
ふ
)
に落ちないと
云
(
い
)
うのは、もともと自分も猫が好きだった筈なのである。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ところが、きのうあたりから、あの
蛾次郎
(
がじろう
)
が、
団子
(
だんご
)
や
焼餅
(
やきもち
)
などをたずさえて、チョクチョク白旗の森にすがたを見せ、竹童のごきげんとりをやりだしたのも
奇妙
(
きみょう
)
である。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
是を湯に入れ汁に投ずれば、単純なる我々の
煮団子
(
にだんご
)
であり、
鍋
(
なべ
)
で焼けば普通のオヤキすなわち
焼餅
(
やきもち
)
となるのだが、形をこしらえるには生のままの時に限るので、それで
粢
(
しとぎ
)
を
御姿
(
おすがた
)
と謂ったのかと思う。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
リヽーに対する
焼餅
(
やきもち
)
?———と、一応思ひついてみたが、それも
腑
(
ふ
)
に落ちないと云ふのは、もと/\自分も猫が好きだつた筈なのである。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
半助はにが笑いして、いくらかの
小銭
(
こぜに
)
をだしてやった。それをもらうと、蛾次郎は人ごみをかきわけてふところいッぱい
焼餅
(
やきもち
)
を買いもとめ、ムシャムシャほおばりながら歩きだした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わて猫みたいなもん相手にして
焼餅
(
やきもち
)
焼くのんと違ひまつせ。けど、鰺の二杯酢わては嫌ひや云ふのんに、僕好きやよつてに
拵
(
こしら
)
へてほしい云ひなはつたやろ。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大方
(
おおかた
)
蘆屋時代には、最初に変な反感を抱いてしまったので、この猫の美点が眼に這入らなかったのであろうが、それと云うのも、
焼餅
(
やきもち
)
があったからなのである。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ありていに云うと、そこへ品子の手紙が舞い込んで来たことは、彼女の
焼餅
(
やきもち
)
を一層
煽
(
あお
)
ったようでもあるが、一面には又、それを爆発の一歩手前で抑制すると云う働きをした。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
どんな事あっても二度と別れるいうこと
出来
(
でけ
)
へん気持になってましたよって、分ってながら分らん風して、お
腹
(
なか
)
の中ではなんぼ
焼餅
(
やきもち
)
焼いてたかて、「綿貫」の「わ」の字も口い出さんと
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
焼
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
餅
常用漢字
中学
部首:⾷
15画
“焼餅”で始まる語句
焼餅話
焼餅喧嘩
焼餅薔薇