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淫奔
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いんぽん
ふりがな文庫
“
淫奔
(
いんぽん
)” の例文
淫奔
(
いんぽん
)
、汚濁、しばらくの
間
(
ま
)
も神の
御前
(
みまえ
)
に汚らわしい。
茨
(
いばら
)
の
鞭
(
むち
)
を、しゃつの
白脂
(
しろあぶら
)
の
臀
(
しり
)
に当てて石段から
追落
(
おいおと
)
そう。——が
呆
(
あき
)
れ果てて聞くぞ、
婦
(
おんな
)
。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ことに、お蝶の母親が、
淫奔
(
いんぽん
)
な
囚徒
(
しゅうと
)
の後家さんであったことも、今となって、二官に
慄然
(
りつぜん
)
とする因果を想わせて来ます。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
恐らく我が国の
娼妓
(
しょうぎ
)
となりし人の動機と理由とを統計上より数えなば、自己の
淫奔
(
いんぽん
)
よりする者は少なく、大多数は一家のために
犠牲
(
ぎせい
)
となったのであろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
君は平中を責める程、
淫奔
(
いんぽん
)
な女を責めないぢやないか? たとひ口では責めてゐても、肚の底で責めてゐまい。それはお互に男だから、何時か嫉妬が加はるのだ。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その時分にはいくら
淫奔
(
いんぽん
)
だといってもまだ肩や腰のあたりのどこやらに
生娘
(
きむすめ
)
らしい様子が残っていたのが、今では
頬
(
ほお
)
から
頤
(
おとがい
)
へかけて
面長
(
おもなが
)
の横顔がすっかり
垢抜
(
あかぬ
)
けして
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
失望の爲めに私は向う見ずになりました。私は浪費をやつた——
放蕩
(
ふしだら
)
ではない。
放蕩
(
ふしだら
)
を私は憎んだし、今も憎んでゐます。それは私の西印度のメッサリナ(
淫奔
(
いんぽん
)
な妻)の持前です。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
しこうしてのちに権力と金力をもってあさはかな
淫奔
(
いんぽん
)
の妻女をたらしこみ、ようやくにして不義の目的を達するにいたりましたから、ここに当然起こったのは夫なる浪人者の始末で
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
わが身の
淫奔
(
いんぽん
)
を思わず、主人の小言を恨んでいたところ、去る二日のこととか、仕事の不出来より、またまた厳しくしかられたを根に持ち、去る五日の夕方、喜七郎が行水している折
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
夫人
南子
(
なんし
)
はつとに
淫奔
(
いんぽん
)
の噂が高い。まだ
宋
(
そう
)
の公女だった頃異母兄の
朝
(
ちょう
)
という有名な美男と通じていたが、衛侯の夫人となってからもなお宋朝を衛に呼び大夫に任じてこれと
醜
(
しゅう
)
関係を続けている。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
淫奔
(
いんぽん
)
で
自墮落
(
じだらく
)
なお近に、そんな面があらうと誰が氣のつくものでせう。
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
マタ・アリの専門は、男の欲望を扱うことだけで、
淫奔
(
いんぽん
)
で平凡な女でしかなかったが、この平凡なマタ・アリの背後に在るドイツのスパイ機能は、およそ平凡から遠いものであるこというまでもない。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
思うに多情
淫奔
(
いんぽん
)
な細君は言うまでもなく亭主を困らせる。
悪妻論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
江戸から流れて来た旅芸者で
郡内
(
ぐんない
)
の
甲斐絹屋
(
かいきや
)
へかたづいたのを、
淫奔
(
いんぽん
)
な
性
(
たち
)
ですぐ帰され、その後鮎川の親分の世話になっている女で、それが賛之丞が
小篠
(
こしの
)
へ来るとすぐに出来て、今じゃ
八寒道中
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
国民皆
堕落
(
だらく
)
、優柔
淫奔
(
いんぽん
)
になっとるから、夜分なあ、暗い中へ足を
突込
(
つッこ
)
んで見い。あっちからも、こっちからも、ばさばさと
遁出
(
にげだ
)
すわ、二疋ずつの、まるでもって
螇蚸
(
ばった
)
蟷螂
(
かまきり
)
が草の中から飛ぶようじゃ。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そうか。……いやそうだろう。あの銀の釵なら、
二女
(
ふたり
)
の母親が、若い頃に
挿
(
さ
)
していた品、その釵が、
淫奔
(
いんぽん
)
な血とつき
纏
(
まと
)
って、お里に愛され、お八重にまで持たれて行った——怖ろしい気がする」
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“淫奔”の意味
《名詞》
性的にだらしなく、みだらなさま。
(出典:Wiktionary)
淫
常用漢字
中学
部首:⽔
11画
奔
常用漢字
中学
部首:⼤
8画
“淫奔”で始まる語句
淫奔者
淫奔事
淫奔女
淫奔娘
淫奔大酒