汝等うぬら)” の例文
「ブッ失敬な奴だ。」とまなこいからし、「たって入りたくば切符を買え、切符を。一枚五十銭だぞ、汝等うぬらに買える理窟は無いわい。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
讀了よみをはり藤八サア是でも汝等うぬらは爭ふかと云れて九郎兵衞は今更面目なさに娘お里を引据此猥婬者めと人前つくら打擲ちやうちやく後家ごけのお深も猶惣内を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「フランス人共聴け。おれ汝等うぬらのためには死なぬ。皇国のために死ぬる。日本男子の切腹を好く見て置け」と云ったのである。
堺事件 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
やい、臂の久八、荒神の十左、その他の駄武士ださんぴんもよっく聞け。よくも汝等うぬらは、生不動をだまうちにして縄張をりゃあがったな。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
、取り返そうとするからには、さては汝等うぬらも人形の、胎内の謎に感付いたな。と云うことであってみれば、人形はいよいよ返されねえ。オイ玄女さん
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
長刀なぎなた一手ひとてぐらいは知っても居ようが、高の知れた女の痩腕、汝等うぬらに斬られてたまるものか、今まで上手を使って居たが、こう云い出したからは己も男だ、□□□□□□□□□□□□□
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
知れ切つたると云はぬばかりに愛想もすげもなく要らぬとは、汝十兵衞よくも撥ねたの、此源太が仕た図の中に汝の知つた者のみ有らうや、汝等うぬらが工風の輪の外に源太が跳り出ずに有らうか
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
汝等うぬらア! 来いッ! かたまって来い! ちくしょう……ッ!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
汝等うぬら一体節穴を盗んで来て鼻の両方へ御丁寧に並べてやあがるな。きょろきょろするない、こうにらむない、蛙になるぜえ、黙って目をねむって、耳の穴を開けて聞け。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夢がどうした、そんな事は木片こっぱでもない。——俺が汝等うぬらの手でつら溝泥どぶどろを塗られたのは夢じゃないぞ。このかッと開けた大きな目を見ろい。——よくもうぬ、溝泥を塗りおったな。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
余りの事に、これはひと分別ある処と、三日二夜ふたよる、口も利かずにまじまじと勘考した。はてたくんだり!てっきりこいつ大詐欺おおかたりに極まった。汝等うぬらはかって、見事に妖物邸ばけものやしきにしおおせる。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「早く帰って汝等うぬらの主人に(あばよ)といえッて、お丹様のおことばだい。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「知れた事だ。汝等うぬらのような蛆虫うじむしは撲殺したって仔細しさいえ。金次どうだ。」「っちまえ。」と、こぶしステッキくうに躍るを、「待った。」となかに割込むは、夫人おくさまの後を追うて、勝手口よりいでたる矢島
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)