“此期(このご)” の例文
思へば故(こ)内府の思顧の侍、其數を知らざる内に、世を捨てし瀧口の此期(このご)に及びて君の御役に立たん事、生前(しやうぜん)の面目(めんぼく)此上(このうへ)や候べき。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
一本音のせぬ樣に漸々引拔(ひきぬき)郷(がう)右衞門は藤五郎を脊負(せおひ)て夫より座敷々々を忍び出れど若(もし)此期(このご)に臨(のぞ)みて出合者(いであふもの)有(あら)ば最早一生懸命(しやうけんめい)に討果(うちはた)さんと伴佐(すけ)十郎は前後左右に眼を配(くば)りながら刀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
老中水野越前守(みずのえちぜんのかみ)の改革に火の消えたような有様ですが、さすがは物見高い江戸っ子、茶気と弥次(やじ)気分は、此期(このご)に及んで衰えた風もなく、落首を貼った高札の前は、押すな押すなの騒ぎ
礫心中 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
『君が山なす久年(きうねん)の御恩に對し、一日の報效をも遂(と)げず、猥りに身を捨つる條、不忠とも不義とも言はん方なき愚息が不所存、茂頼此期(このご)に及び、君に合はす面目も候はず』
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
知らぬと云者なり主人主税之助は惡人ながら又愚直(ぐちよく)の處もあり其方は此期(このご)に及でも未(いま)だ運の盡(つき)たるとは思ずや此越前守が見る處汝(なんぢ)は勿々(なか/\)立派(りつぱ)なる惡黨成れど一度帶刀(たいたう)もせし身なればサア武士(ぶし)らしく白状なし名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此期(このご)に臨んでも、たより無い八五郎です。
御老年の此期(このご)に及びて、斯かる大變を見せ參らするこそうたてき限りなれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
此期(このご)に臨んでも、たよりない八五郎です。
兩端に申立る條(でう)不屆至極なりと勃然(やつき)となりて怒るにぞ九助は二言と返答(へんたふ)もせず居たりしかば理左衞門は家老中へ對(むか)ひ此期(このご)に及んで斯の如きの始末(しまつ)言語同斷の曲者(くせもの)ゆゑ彌々(いよ/\)今日御所刑(しおき)に行ひ然るべしと申時主計(かずへ)は點頭(うなづき)如何(いか)樣御法(ごはふ)の如く申渡て宜からんと云を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)