根元こんげん)” の例文
あのヘラヘラ笑いの拠って来る根元こんげんは何か。所謂「官僚の悪」の地軸は何か。所謂「官僚的」という気風の風洞は何か。
家庭の幸福 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ハルトマンの形而上学けいじじやうがくでは、此世界は出来るだけ善く造られてゐる。併し有るが好いか無いが好いかと云へば、無いが好い。それを有らせる根元こんげんを無意識と名付ける。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
信濃と越後の国境くにさかいに秋山といふ処あり、大秋山村といふを根元こんげんとして十五ヶ村をなべて秋山とよぶ也。
こゝにこの因果を観じて如是にょぜ本末の理趣ことわり究竟くきょうし、根元こんげんを断証して菩提心に転じ、一宇の伽藍がらんを起して仏智慧ぶつちえ荘儼しょうごんたてまつり、一念称名しょうみょう人天咸供敬にんてんげんくぎょうの浄道場となせる事あり。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
に身請する人ありといつはりて五十兩の金をかたとり種々しゆ/″\惡計あくけいはたらきし其根元こんげんたづぬるに國は三しう藤川ふぢかは近在きんざい岩井村いはゐむらの百姓にさく十と云者あり夫婦のなかに子供兩人有てあにを作藏舍弟おとゝ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わざわい根元こんげんを絶つことが出来なかったのを、実に残念に思うのです。韮崎が不思議な自殺をとげた今、この曲者を取逃がしてしまっては、我々の手には何一つ残らなくなるのですからね。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
僕は、とにかく、あの噂の根元こんげんを、突きとめてみたい。何か、ある。きっと、ある。僕には、そんな予感がする。根も葉も無い噂だとしたなら、僕は幸福だ。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
此男勇漢ゆうかんなれば三に草木を分けて山を越、谷をわたりてかの根元こんげんをさぐりみるに、たゞ何のことなる事もなき石なり。ひろひとりてかへるに道すがら光ること前の如し。
必ず噂の根元こんげんを突きとめてみたい、と意気込んでおっしゃるような始末なので、こんな無分別なお若い人たちのなさる事を黙って傍観していると、やぶからへびみたいな
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
此男勇漢ゆうかんなれば三に草木を分けて山を越、谷をわたりてかの根元こんげんをさぐりみるに、たゞ何のことなる事もなき石なり。ひろひとりてかへるに道すがら光ること前の如し。