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板子
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いたご
ふりがな文庫
“
板子
(
いたご
)” の例文
温泉場
(
ゆば
)
の
御那美
(
おなみ
)
さんが
昨日
(
きのう
)
冗談
(
じょうだん
)
に云った言葉が、うねりを打って、記憶のうちに寄せてくる。心は
大浪
(
おおなみ
)
にのる一枚の
板子
(
いたご
)
のように揺れる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
左右からせきたてて、小船の
板子
(
いたご
)
をしいた死の
座
(
ざ
)
へ
伊那丸
(
いなまる
)
をひかえさせた。そして
床几
(
しょうぎ
)
にかけた
梅雪
(
ばいせつ
)
に
目礼
(
もくれい
)
をしてひきさがる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ちょうど十日ばかり以前のある午後、僕等は海から
上
(
あが
)
った体を熱い砂の上へ投げ出していた。そこへ彼も
潮
(
しお
)
に濡れたなり、すたすた
板子
(
いたご
)
を引きずって来た。
海のほとり
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
けれども
大船
(
おおふね
)
に救い上げられたからッて安心する二葉亭ではないので、
板子
(
いたご
)
一枚でも何千
噸
(
トン
)
何万噸の
浮城
(
フローチング・キャッスル
)
でも
二葉亭追録
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と其の夜一夜を祈り明かし、夜の
白々
(
しら/\
)
と明くるを幸い、
板子
(
いたご
)
を
割
(
さ
)
いたる道具にて船を漕ぎ寄せようと致しますると、一二丁は遠浅で、水へ入れば腰のあたり
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
友達の眼の長く切れた
痩
(
や
)
せ
形
(
がた
)
の
細君
(
さいくん
)
と、まだ處女で肉付に丸味のある妹とは、その色白の肌に海水着の黒いのを着て、ボートの
板子
(
いたご
)
に一緒に取り附いて
泳
(
およ
)
いだ。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
あの麗しいコゼットは、難破者たる彼にとっては一枚の
板子
(
いたご
)
であった。しかるに今やいかにすべきであったか。それに取りついているべきか。それを離すべきか!
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それからどうにか伝馬を着けると、ひらひらと
板子
(
いたご
)
の上を駈けて渡った。それからのことである。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
担
(
にな
)
わなくては持てないほど獲れたりなんぞする上に、これを釣る時には舟の
艫
(
とも
)
の方へ出まして、そうして大きな長い
板子
(
いたご
)
や
楫
(
かじ
)
なんぞを舟の
小縁
(
こべり
)
から小縁へ渡して、それに腰を掛けて
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
板子
(
いたご
)
一枚下は
地獄
(
じごく
)
である。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
板子
(
いたご
)
に立ちて騷ぐらむ。
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
宮
(
みや
)
の
根
(
ね
)
もとにくくりつけられていた
咲耶子
(
さくやこ
)
は、罪人のように追ったてられて、
板子
(
いたご
)
のならべてあるとなりへすえられた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんな野郎が此の町中をのそ/\歩きやアがるんで、
夜商人
(
よあきんど
)
の蕎麦屋だの
家台店
(
やたいみせ
)
などは
何
(
ど
)
のくれえ困るものが有るか知れねえから、殴り倒してやろうと思い、手頃の
板子
(
いたご
)
を一枚持って
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
日が照る海がかがやく鰯船
板子
(
いたご
)
たたけりあきらめられず
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そのまに、二、三人の
郎党
(
ろうどう
)
は、小船の
板子
(
いたご
)
を四、五枚はずしてきて、
武田伊那丸
(
たけだいなまる
)
の死の
座
(
ざ
)
をもうけた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
板
常用漢字
小3
部首:⽊
8画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“板子”で始まる語句
板子稼業
板子縮緬