ひんがし)” の例文
またわが愛もてつなぎ留めではやまじ。それもかなわでひんがしに還りたまわんとならば、親とともにかんは易けれど、かほどに多き路用をいずくよりか得ん。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
金太 (先に立って、草に蔽われた小道を元気よく登って行きながら、うたう)見よひんがしの朝ぼらけ……
樹氷 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
西の海東の山路、かなたこなた巡りましつつ、あきらけくおさまる御世の、今年はも十あまり三とせ、瑞枝みずえさす若葉の夏に、ももしきの大宮人の、人さはに御供みともつかへて、ひんがしみやこをたたし
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あかっちゃけた山骨に、偃松の緑をね合せて、峻厳なる三角塔につぼんで、ひんがしの天に参している、その迂廻した峰つづきの、赤沢岳の裏地は、珊瑚さんごのように赤染めになっている、振りかえれば
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
うしほ今和布ひんがしに流しをり
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
は明けんとす、ひんがしに。
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ひんがしに出で西になが
ながつゝみひんがし
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
されど我身の過ぎし頃には似で思ひ定めたるを見て心折れぬ。わがひんがしに往かん日には、ステツチンわたりの農家に、遠き縁者あるに、身を寄せんとぞいふなる。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
金太郎 (よくとおる少年の声で、働きながら歌う「農民道場の歌」)……見よひんがしの朝ぼらけ……
樹氷 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
それもかなはでひんがしに還り玉はんとならば、親と共に往かんは易けれど、か程に多き路用を何処いづくよりか得ん。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
げにひんがしに還る今の我は、西に航せし昔の我ならず、學問こそ猶心に飽き足らぬところも多かれ、浮世のうきふしをも知りたり、人の心の頼みがたきは言ふも更なり
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
げにひんがしかへる今の我は、西に航せし昔の我ならず、学問こそなほ心に飽き足らぬところも多かれ、浮世のうきふしをも知りたり、人の心の頼みがたきは言ふも更なり
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
げにひんがしかえる今の我は、西に航せし昔の我ならず、学問こそなお心に飽き足らぬところも多かれ、浮世うきよのうきふしをも知りたり、人の心の頼みがたきは言うもさらなり
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
きてみれば待遇ことにめでたく、魯西亜ロシヤ行の労を問い慰めてのち、われとともにひんがしにかえる心なきか、君が学問こそわが測り知るところならね、語学のみにて世の用には足りなん
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)